こんな悩みはありませんか?
- 会社四季報が読めるようになりたい!
- 会社四季報のそれぞれの項目は何が書かれているのか知りたい!
- 株式投資に興味があるから勉強したい!
株式投資に興味がある人にとって、「企業の健康診断書」と呼ばれる会社四季報を読めるようになることが最初の一歩です。
会社四季報は、上場企業のプロフィールや業績が一冊にまとまっているため、株式投資家に非常に重宝されています。
しかし、株式投資の経験がない人からすれば「専門用語が多く、どうやって分析に使えばいいか」理解できないでしょう。
とはいえ、会社四季報にでてくる専門用語や分析手法は、株式投資を始めるうえで極めて重要といえます。
そこで本記事では、会社四季報の発売時期や、全19項目で何が書かれているのか解説します。
目次
会社四季報とは
会社四季報(四季報)とは、東洋経済新報社から年に4回発行される情報誌で、上場企業のプロフィール(企業名、所在地、代表者名)や業績、株価などが一覧にまとまっています。
会社の実績や将来性を評価する「企業分析」に役立つため、株式投資家の多くは定期購読しています。
会社四季報が発売される時期
会社四季報は「3集夏号・4集秋号・1集新春号・2集春号」と年4回の決算期のタイミングに合わせて発売されます。
3月末 | 6月末 | 9月末 | 12月末 | |||||
本決算 (4Q決算) | 第1四半期 (1Q決算) | 中間決算 (2Q決算) | 第3四半期 (3Q決算) | |||||
3集夏号 | 4集秋号 | 1集 新春号 | 2集 春号 | |||||
6月中旬発売 | 9月中旬発売 | 12月中旬発売 | 3月中旬発売 |
会社四季報は決算時期に連動して発売されますが、決算してすぐに発売される訳ではなく、データ集計や、報告資料をまとめたりするため、決算から約3か月後に発売されます。
上場企業のほとんどが3月末決算のため、本決算時点の情報がまとまっている3集夏号が重要です。
昨年1年間の結果や、今期1年間の予想が発表されるため、株価に与える影響が大きくなります。
初心者には会社四季報の紙版がおすすめ
会社四季報は、紙版(冊子版)の会社四季報と、オンライン版(WEB版)の会社四季報ONLINEの2種類があります。
初心者の方には、一見すると気軽に読めるオンライン版が良さそうですが、紙版をおすすめします。
株式投資初心者のうちは、銘柄(投資対象)を選ぶところからはじまるので、紙版であれば、パラパラとページをめくりながら知らなかった企業にも巡り合う可能性が高くなります。
紙版は、1ページに2社ずつ、見開きで4社、合計約3,700社の上場企業の情報をパラパラと網羅的にみることができる一方、オンライン版は企業検索がメインとなるため、名前を知らない企業や興味がない企業の情報に辿り着けない可能性があります。
紙版 | オンライン版 | |
情報網羅性 | 〇 | ✖ |
情報の速さ | ✖ | 〇 |
情報検索のしやすさ | ✖ | 〇 |
料金 | 9,200円(2,300円×4) | 12,960円(1,080円×12)/ 64,800円(5,400円×12) |
会社四季報の読み方
会社四季報は、大きく分けて「会社プロフィール」と「会社の業績」の2分類、細かく分けると19項目にわけることができます。
以下の図の青色が「会社プロフィール」、緑色が「会社の業績」に関わる項目です。
それぞれについて解説をします。
会社四季報の「会社プロフィール」項目
会社基本情報
会社基本情報には、「証券コード・会社名・決算月・設立・上場・特色・連結事業/単独事業」などの情報がまとまっています。
会社の名前や決算日などの一般的な情報に加え、特に重要なのは「連結事業/単独事業」です。
「連結事業/単独事業」は、直近の決算データの部門別の売上高の構成比率を表しています。
会社のいくつかの事業の中で、それぞれの売上高が売上全体の何%なのかを測ることができます。
会社所在地・取引先
本社の住所や支店、工場などの住所・電話番号や、従業員数、販売先・仕入先・取引銀行がまとまっています。
銘柄選定において重要度が低い項目ですが、仕入先や販売先企業の情報は会社同士の関係がわかります。
仕入先や販売先企業の影響で、株価に影響を及ぼすこともあるので、仕入先・販売先企業の情報は投資前に確認しておくと良いでしょう。
株主構成
株式を保有する人数、株式保有数上位10名、株式保有率、保有株比率がまとまっています。
株主が誰なのか、何%の株を保有しているのかといった株主構成によって、会社の経営はまるで変わってしまいます。
大株主の事業内容や関係性、株式保有率は、銘柄選定においてチェックすべき項目です。
役員構成
社長以下、役員の名前が記されています。役員は、会社の業務執行に関する意思決定を行う者です。
銘柄選定において重要度が高い訳ではありませんが、役員が筆頭株主の場合は、経営の意思決定と業務執行の双方に強い力をもってしまうため、場合によっては注意が必要です。
会社四季報の「会社の業績」項目
業績評価コメント
会社四季報の担当者が、今期の業績予想か、決算期には来期の業績予想を評価してコメントしています。
業績評価コメントの後半には、成長戦略や経営課題といった業績予想の根拠が書かれています。
業績評価コメントの前半では、主に「今期の業績見通し」について書かれている一方、後半部分は、会社の中長期的な成長戦略や新規事業や新商品に関すること、経営課題が書かれる場合が多いです。
業績予想修正
前号の会社四季報で予想した営業利益と、今号の会社四季報で予想する営業利益の修正率が矢印で記されています。
営業利益の修正率は、↑↑から↓↓の5段階の矢印で評価されています。
業績予想修正が特に重要となるのが、1集 新春号の中間決算の時期で、決算期にたてた業績予想から半年後の状況を瞬時に判断するのに役立ちます。
強気度マーク
強気度マークは、会社四季報の紙面版のみに掲載されている情報です。
強気度マークとは、会社四季報が予想する営業利益の予想と、企業が予想する営業利益の予想の乖離率を4段階で示したマークです。
会社の収益計画が慎重すぎるのか、見積が甘すぎるのか分析するのに役立ちます。
株式
発行株式数や、売買できる単位を表しています。
2018年10月から上場企業の売買単位は100株に統一されたため、単位は100株に固定化されています。
また、株主優待の有無や、日経平均採用銘柄などが確認できます。
財務
貸借対照表=バランスシート(B/S)から抜粋した、「資産」「負債」「純資産」の情報が簡易的にまとまっています。
会社の保有資産に対する自己資本の比率などを見ることができるので、企業の安定性を測るうえで重要な項目です。
指標等
株主が現在の投資に対するリターンと、今後の株価の動向を予想する際に使います。
銘柄選定における重要指標となるROE(自己資本利益率)や、ROA(総資本利益率)をはじめ、設備投資や研究開発をどの程度行っているかわかります。
株主の多くが注目する指標となり、銘柄選定においても非常に重要です。
キャッシュフロー
一定期間の支出・収入の増減額を示しています。
「営業CF・投資CF・財務CF・現金同等物」という項目が書かれており、営業や投資、資金調達による収支の増減を測ることができます。
会社のお金の流れとバランスを確認することができるので、銘柄選定に役立ちます。
資本移動
増資や減資、株式交換・分割などによって増減した発行株式数の推移を表したものです。
株式数がどのタイミングで、どんな理由で増えたり、減ったりしたかを示しており、企業の経済事情や思惑を想像できるので、株主に便利な指標です。
略表記と移動株数で書かれているので、略表記をある程度覚える必要があります。
株価
過去の高値・安値と直近3カ月の高値・安値が書いてあります。
直近3カ月に関しては出来高も書かれているため、市場の活性度を測るバロメーターとして使われており、短期的にみてどの程度注目されているかを測ることができます。
ネットキャッシュ・手元流動性比率
ネットキャッシュと手元流動性比率は「企業の資金繰りの安全度」を示す指標です。
ネットキャッシュが高ければ、安全性の高い流動性資産の保有率が高く、財務上の安心材料が多いことを示す一方で、時価総額に対してあまりにもネットキャッシュが多いと、事業への投資や投資家への還元が少なく現金をうまく使えていないことを示しています。
手元流動性比率が高ければ、企業の短期的な支払能力が高いことを示しています。
銘柄選定の際には、企業の安全性の評価も重要なため重要な指標です。
業種・比較会社
業界における企業の立ち位置や、ライバル企業を簡単に見つけるの際に使います。
会社の業種・時価総額順位、比較対象のライバル会社の時価総額が書かれているため、投資対象の業界での立ち位置や投資対象の安全性を確認する一つの判断材料になります。
業績
売上高、営業利益、経常利益、純利益などの損益通算書(PL)に記載されている情報と、1株益(EPS)、1株配の情報が掲載されています。
直近5年と向こう2年の予想が掲載されており、本年ぶんは確定分と予想分がわかれて掲載されています。
本項目は、企業の通知表なようなもので、財務状況の過去の推移や展望が読み取れるため、銘柄選定において非常に重要な項目です。
配当
配当金についての情報が書かれており、株式投資家にとっては、自分の収入に関わる情報です。
過去に支給された配当金、今期の配当金、今期以降の予想配当金に関する情報と、予想配当利回り、1株純資産に関する情報が書かれています。
株価指標
「予想PER」「実績PER」「PBR」「株価」「最低購入金額」といった株式投資家にとって、銘柄選定の材料となる項目が書かれており、「株価の妥当性」「株価の割安性」を計る上で重要な指標になります。
今の株価がどれだけ割安なのかを測ることで、株式の売買を行うタイミングの判断材料になります。
株価チャート
テクニカル分析の基礎的な情報が載っており、直近3年間の株価の流れから、今後の株価を予想し「株の売買のタイミングを測る」材料になります。
株価チャートは、「株価」「出来高」「信用残」の3つで構成されており、株価のトレンドの方向や強さ、市場の活性度、トレンドの終わりを予想することができます。
会社四季報のまとめ
本記事では、会社四季報の発行時期や紙版がおすすめの理由、会社四季報の簡単な読み方について解説しました。
会社四季報の読み方に関しては、各項目それぞれを詳しく解説しているページがあるので、気になる項目はより詳しく見ていただければと思います。
株式投資に挑戦しようと思う方は、まずは会社四季報が十分に読めるレベルを目指してみましょう!