- 株式投資に使えるくらい、会社四季報を読み解けるようになりたい!
- 会社が所有している現金の流れを知りたい
- 会社四季報の【キャッシュフロー】について知りたい
会社四季報の「キャッシュフロー」は、会社のお金の流れとバランスを確認することができる項目です。
「営業CF・投資CF・財務CF・現金同等物」が書かれており、営業や投資、資金調達による収支の増減を測ることができます。
この記事では、キャッシュフローの読み方について解説します。
目次
会社四季報の「キャッシュフロー」とは
キャッシュフローでは、一定期間の支出・収入の増減額を示しています。
ちなみに英語では、「Cash Flow」と書くので、省略するとCFと表記されます。
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ある会社の現金による収入は、キャッシュイン(消費者から現金を支払われる場合など)と呼び、現金による支出は、キャッシュアウト(会社の物品を購入するなど)と呼びます。
それでは、実際に先ほどの画像にある任天堂(7974)の【キャッシュフロー】を参考にしながら、キャッシュフローについて解説していきます。
以下の画像が、任天堂(7974)の上記[4]に書かれている【キャッシュフロー】の内容です。
会社四季報の【キャッシュフロー】には、上から「営業CF・投資CF・財務CF・現金同等物」という項目が書かれています。
それぞれの項目については、後ほど詳しく解説します。
それぞれの数字の単位は、「百万円」か「億円」で、企業ごとに異なるため、右上に表示されている単位を確認する必要があります。
各項目の左側の数字は、直近(本決算期)の金額で右側の( )内の数字は、前期の金額を表しています。
また、「▲」はマイナスを意味します。
それでは、各項目の内容について解説していきます。
営業キャッシュフロー(営業CF)
営業キャッシュフロー(営業CF)は、実際の営業において生じるキャッシュの増減を表すものです。
純利益から売掛金や買掛金などを差し引きし、そこに実際の現金流出を伴わない減価償却費を足します。
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減価償却費とは、年月の経過や使用によってそのものの価値が下がる固定資産にかかった金額を、一定期間、毎期の費用に計上する費用のことで、建物や土地などが例として挙げられます。
営業CFがプラス(黒字)だと、その期の営業でキャッシュが増加したことになります。
一方、営業CFがマイナスだと、もともと純利益が赤字の可能性もありますが、在庫を増やしていたり、売掛金の回収が遅れていたりする場合もあります。
仕入れと販売の関係によっては、資金回収までの時間にラグがあるため、売り上げが大きくなればなるほど営業CFが減少する場合は十分あります。
そのため、営業CFがマイナスだからと言って、一概に経営が悪化しているとは判断できません。
会社四季報の【業績】項目で営業利益などを確認し、総合的に判断することが必要です。
会社四季報の【業績】についてはこちらの記事で解説しています。 続きを見る株式投資|会社四季報の読み方2 「会社業績」の基本3項目を解説
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新規会社の場合は、利益拡大を目的に売掛金が高くなることで、営業キャッシュフローが赤字になる場合もあります。ですが、前期分の資金を回収できれば、今期の営業CFは黒字になります。売掛金とは、商品の販売・サービスの提供をしたことで受け取れる資金のうち、未収のものとして計上するお金です。
任天堂(7974)の営業CFを確認してみましょう。
営業CFの項目を見ると、本決算期は、3,477億円となっています。
前期の数値である1,705億円と比較してみると、本決算期では順調にキャッシュが増加していることがわかります。
投資キャッシュフロー(投資CF)
投資キャッシュフロー(投資CF)は、設備などの固定資産や子会社や関連会社への投資に対して、資産や有価証券の売却額を差し引いたものです。
有価証券を売却するようなことでもない限り、基本的にはマイナスになる項目です。
現状の設備に投資したり、新たな事業に投資したりするような運用が考えられるため、一般的に、投資CFはマイナスの方が事業拡大や新規事業への参入を積極的にしている会社ことになります。
例えば、新規の工場や店舗を建設するためには、資金を投入することになりますが、その時点での投資CFはマイナスとして計上されます。
一方、投資CFがプラスになるケースとしては、すでに会社が所有している工場や店舗を売却して資金を回収するケースが例として挙げられます。
任天堂(7974)の投資CFを確認してみましょう。
本決算期は、▲1,884億円となっています。
前期の数値である、453億円と比較してみると、本決算期では、事業拡大に力を入れ、資金を投じたことが想定できます。
財務キャッシュフロー(財務CF)
財務キャッシュフロー(財務CF)は、金融機関や社債などから、どのくらいの資金が集められたかを表し、資金繰りの状況を把握できるものです。
借入金から返済額を差し引いた金額が財務CFとなります。
金融機関などに借入金を返済したり社債を投資家に償還したりすると、その会社は支出が多くなるため、財務CFはマイナスになります。
営業CFで得たキャッシュを投資CFに回し、その不足分を一時的に財務CFで調整します。
財務CFは単年度のプラス・マイナスだけを見ても判断しきれないので、年を追って判断する必要があります。
任天堂の財務CFを確認してみましょう。
本決算期は、▲1,110億円となっています。
前期の数値である、▲1,090億円と比較してみると、金融機関の借入金などを前期よりも返済していることが分かります。
現金同等物
現金同等物とは、会社が所有している「現金」・「流動性が高い資産」を合わせた資産のことです。
流動性が高い資産とは、3ヶ月以内に現金に換えることが可能な資産のことです。
例えば、一般的に馴染みがあるのは、銀行預金が該当します。
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6ヶ月の定期預金は、現金同等物に含めることができません。現金同等物に含めるためには、3ヶ月以内に現金に換えることが条件だからです。
任天堂(7974)の現金同等物を確認してみましょう。
本決算期は、6,214億円となっています。
前期の数値である、5,853億円と比較してみると、「現金」・「流動性が高い資産」を合わせた資産が増えていることが分かります。
フリーキャッシュフロー(フリーCF)とは
フリーキャッシュフロー(フリーCF)とは、「営業CF」と「投資CF」の数字を合計額で表したものです。
会社四季報には載っていないので、自分で計算する必要があります。
フリーCFがプラスの会社だと、金融機関などの借入金を必要とせずに、事業で得た利益を将来のために自由に使うことができます。そのため、今後事業の拡大ができる可能性があります。
一方、フリーCFがマイナスの会社だと、営業CFの数字だけでは設備投資をしても不足額が生じるため、金融機関などからの借入金や社債を発行することで、不足額を補填することになります。
任天堂(7974)の【キャッシュフロー】を用いて、フリーCFを計算してみましょう。
フリーCFは、「3,477億円(赤枠)+▲1,877億円(青枠)」により、約1,600億円になります。
そのため、任天堂(7974)の利益は1,600億円となり、金融機関などの借入金を用いなくても、営業利益だけで設備投資の費用をまかなうことができます。
まとめ この記事が30秒で理解できる!
この記事では、会社四季報の【キャッシュフロー】について解説しました。
キャッシュフロー(CF)とは、現金の支出・収入の流れを表している財務表のことで、営業CF・投資CF・財務CF・フリーCFという種類があります。
営業CF | 実際の営業において生じるキャッシュの増減を表すもの |
投資CF | 設備などの固定資産や子会社や関連会社への投資に対して、資産や有価証券の売却額を差し引いたもの |
財務CF | 金融機関や社債などから、どのくらいの資金が集められたかを表し、資金繰りの状況を把握できるもの |
現金同等物 | 会社が所有している「現金」・「流動性が高い資産」を合わせた資産のこと |
フリーCFは、会社四季報には書かれていませんが、「営業CF+投資CF」の式で計算することができます。
このように、キャッシュフローでは、その会社のお金の流れとバランスを確認することができます。
キャッシュフローを参考にして投資をするか判断しましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。