こんな悩みはありませんか?
- 会社四季報を使って損益計算書の内容が読めるようになりたい
- 会社四季報を株式投資に活用したい
会社四季報の業種は、企業の通知表なようなもので、財務状況の過去の推移や展望が読み取れ、銘柄選定に非常に重要な項目です。
この記事では、会社四季報の「業績」について解説します。
目次
会社四季報「業績」
会社四季報の中で「業績」を拡大したものが以下の画像です。
会社四季報の【業績】は、売上高、営業利益、経常利益、純利益などの損益通算書(PL)に記載されている情報と、1株益、1株配の情報が掲載されています。
直近5年と向こう2年の予想が掲載されており、本年ぶんは確定分と予想分がわかれて掲載されております。
【業績】は、企業の通知表なようなもので、財務状況の過去の推移や展望が読み取れるため、株式投資家にとって非常に重要な項目です。
会社四季報「業績」の読み方
決算期
下記画像で赤枠で囲まれた範囲が「決算期」の情報です。
決算期は、過去5期分の結果、会社四季報による直近2期分の予想、当該年度の確定分と予想分、当該法人による今期の予想が書かれています。
会社四季報の任天堂(7974)では、「5年間分の業績結果」・「2期分の業績予想(会社四季報が予想した数値)」、「2019年度の第1決算期~第2決算期の業績結果」・「2020年度第1決算期~第2決算期の業績予想」・「2021年度3月度の予想(会社が発表した業績予想)が順に書かれています。
決算期の後ろの「予」は、会社四季報による予想を表し、決算期の前の「会」後ろの「予」は、法人側が発表した業績予想を意味します。
売上高
売上高は、企業の事業活動を通して得た資金の総額のことで、人件費などの支出を差し引く前の売上の合計額です。
売上高が高いと企業の儲けが多く、売上高が低いと企業の儲けが少ないことを表します。売上高は、企業が最終的にどれだけ利益を出しているか算出する際の源泉となる非常に重要な数値といえます。
売上は事業継続の原資となるため、売上がなければ企業は存続できません。売上高は、価値提供の総量となります。
上記の例ですと、売上高が17年3月の489,095から、18年3月の1,055,682に大きく膨れ上がっています。こちらは任天堂の例ですが、2018年3月決算期はNintendo Switchの大ヒットにより売上を大きく伸ばしています。
このように売上高を時系列でみることで、企業の今後の戦略に照らし合わせ、今後の事業展開を予想することができます。
営業利益
営業利益とは、売上総利益(粗利益)から販売費用・一般管理費を差し引いた後の本業の利益を示します。販売費用と一般管理費を合わせて「販管費」と呼びます。
販売費用は、営業店舗の家賃・販売員の人件費・販売手数料・商品の輸送費・広告宣伝費用などが該当し、一般管理費は、販売員以外の人件費・減価償却費・研究開発費・光熱費・租税公課などが該当します。
営業利益は、本業の利益を計算する性質上、投資対象銘柄を見極めるうえで非常に重要です。本業でしっかりと稼いでいることが経営上健全であり、事業が安定している指針になります。
売上高と営業利益を過去と照らし合わせて、極端に営業利益が減っている場合は、「会社四季報の指標等」を確認するといいでしょう。設備投資や研究開発に投資している場合、減価償却費が膨らみ営業利益が下がるなど、投資は売上と営業利益の関係に影響を与えます。
経常利益
経常利益は、営業利益に加え、本業以外の収益や支出を反映した事業全体の収益です。
経常利益は会社の体力そのものを表すため、財務諸表の中で投資家にもっとも注目される指標です。経常収益=会社の実力といえます。
本業以外で得た収益とは、受取利息や受取配当金、有価証券売却益などがあり、営業外費用とは、支払利息や有価証券売却損、有価証券評価損などがあります。
仮に営業利益が黒字でも、支払い利息などの影響で経常利益が赤字であれば、経営が不安定な会社でしょう。経常利益が黒字かどうかは銘柄選定の一つの大きなポイントです。
経常利益は株価に大きな影響を与えます。銘柄選定中の投資家にとっては非常に重要な利益です。
純利益
純利益とは、経常利益から特別利益・特別損失などの税金を差し引いた後の利益のことです。つまり、純利益は手元に残った最終利益です。
純利益は、「税引後利益」や「最終利益」「当期純利益」などといわれることもあります。
特別利益とは、会社の土地を売却することで得られる土地売却益や子会社を他社に売却することで、特別に発生した多額の利益を得ることです。
一方、特別損失とは、工場設備の廃棄損を処理することで、特別に発生した多額の損失を被ってしまうことです。
純利益は、最終的に手元に残っている利益のため、株式投資家への配当金の原資になります。そのため既に銘柄に投資している投資家にとっては最も重要な利益です。
ここがポイント!
この純利益が、会社の当期純利益(最終利益)となり、業績欄の見出しが「最高益」・「最高益更新」と書かれている場合は、この会社の過去最高の利益を得たことを意味します。今までの最高純益については「会社四季報の指標等」に書かれています。
1株益
1株益とは、1株あたりの純利益のことで、EPS(Earnings Per Share)とも呼びます。
EPSは、当期純利益を発行済株式数で割ることで計算でき、EPSに保有株式数をかけることで株式の配当を計算することができます。
EPSは基本的に会社の収益に連動して上下する傾向があります。
一般的に、株価は「EPS×PER(株価収益率)」で計算されるため、EPSが上がることで株価も上がり、EPSが下がることで株価も下がります。
ここに注意!
自社株買いや株式併合などで発行済株式総数が減れば、EPSが上がっても業績は下降している場合があります。また、増資、第三者割当、ストックオプションなどで発行済株式総数が増えれば、EPSは下がります。つまり、EPSは会社の収益だけに依存するのではなく、「発行済株式数」の変動により上下するので、注意が必要です。
1株配
1株配とは、1株あたりの配当金額のことです。投資家は1株配に保有株式数を掛け合わせることで配当が計算できます。
上記の任天堂の例ですと、16年3月の150円から、20年3月には1090円に大きく膨れ上がっています。任天堂は100株単位の取引銘柄のため、100株でも15,000円配当が10,9000円まで増えたことが分かります。
まとめ この記事が30秒で理解できる!
会社四季報の【業績】は、損益計算書の抜粋と、1株益(EPS)、1株配が載った投資家にとって非常に重要な項目でした。
【業績】に書かれている内容だけで企業のすべてを把握できる訳ではありませんが、時系列でお金の流れをつかむことで、企業の財務状況や大まかな未来予想に繋がります。
是非、株式投資の銘柄選定に有効活用してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。