税金

所得の10種類|総合課税と分離課税の違いをわかりやすく解説!【FP監修】ややこしい配当所得の解説付き

所得 10種類

こんな悩みはありませんか?

  • 税金ってどうやって計算されるの?
  • 総合課税と分離課税の対象となる所得って何?
  • 上場株式の配当所得はどの納税方式がお得なの?

この記事の信頼性

マネブロの記事は、ファイナンシャルプランナー2級(FP2級)・AFPが監修を行っています。

所得税の課税方法にはどんな方法があるんですか?
総合課税と分離課税の2種類があるよ。一見ややこしいから、わかりやすく整理して解説するね!
MONEBLO

給与以外の収入が発生したときに、どうやって納税するのかわからない方も多いでしょう。

所得税の課税方法は「総合課税」と「分離課税」の2種類があり、分離課税はさらに「申告分離課税」と「源泉分離課税」に分類されます。

この記事ではややこしい税金の課税方式について、わかりやすく解説していきます。

総合課税と分離課税の違い

総合課税と分離課税

1年間の所得に対して税金がかかる所得税には、「総合課税」と「分離課税」の2種類の課税方法があります。

総合課税と分離課税は、それぞれ別々で所得税の税額が計算されます。

もっとも身近な給与所得は総合課税であり、他にも例えば不動産の家賃収入を得ている(不動産所得)場合などは、それと合算して税額が確定します。

簡単にいうと、総合課税は対象の所得を全て合算して税額が確定するのに対して、分離所得はそれぞれが独立して税額が決まるということです。

では各課税方法の違いについて解説します。

総合課税とは

総合課税は、以下の対象の所得を全て合算して税額を確定します。

総合課税の対象所得
所得分類内容
利子所得公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得。利子所得の中で、同族会社が発行した社債の利子や、国外の銀行に預けている預貯金の利子が該当。
配当所得株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配などから生じる所得。原則として総合課税だが、確定申告不要制度を利用すると分離課税となる。
不動産所得不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得。
事業所得商業・工業・農業・漁業・自由業などの事業から生じる所得。
給与所得給料・賞与などの所得。
譲渡所得事業用の固定資産や家庭用の資産などを売った所得。ただし、土地建物や株式を売却した場合は分離課税となる。
一時所得クイズの賞金や満期保険金などの所得。
雑所得年金や恩給などの公的年金等、非営業用貸金の利子、原稿料や印税、講演料など、他の9種類の所得のどれにも属さない所得。

総合課税は、上記の所得をすべて合算して、その合計額に応じた税率によって課税額が決定します。

総合課税の課税計算方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

分離課税とは

分離課税とは、他の所得と合算して計算を行わず、それぞれの所得に対して別々に課税されます。

分離課税はそれぞれが独立しているため、それぞれの所得で異なる税率で課税されます。

分離課税の対象所得
所得分類内容
利子所得公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得。利子所得の中で、特定公社債の利子、特定公社債以外の公社債の利子(同族会社以外)などが該当。
配当所得株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配などから生じる所得。原則として総合課税だが、確定申告不要制度を利用すると分離課税となる。
退職所得退職によって受ける所得。
山林所得5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得。
譲渡所得土地建物や株式を売却した場合の所得。
雑所得雑所得のうち、商品先物、日経225先物、FX取引に関する所得。

分離課税制度が採用されている理由は、退職金など一時的に大きな所得を得た場合に、総合課税と合算してしまうと、税額が膨らみ税負担が大きくなってしまうからです。

税負担を軽くするために、金額の大きい所得は、分離課税制度が採用されています。

ここに注意!

総合課税と分離課税の両方に当てはまる所得が、譲渡所得、利子所得、配当所得、雑所得です。

申告分離課税と源泉分離課税の違い

分離課税は、「申告分離課税」と「源泉分離課税」の2種類に分けられます。

申告分離課税とは

申告分離課税とは、他の所得と区別して税額を計算し、確定申告により納税する方法です。総合課税と同じように確定申告を行いますが、税額の計算は全く別ものとして行います。

株式の譲渡所得や、土地・建物の譲渡所得、山林所得などが、 申告分離課税の対象になります。

さらに詳しく!

株式等の譲渡所得等に対する申告分離課税の税率は、所得税(15%)・住民税(5%)・復興特別所得税(0.315%)の合計20.315%です。

源泉分離課税とは

源泉分離課税とは、所得を受け取る時点で、あらかじめ税金が源泉徴収される課税方式です。

つまり、所得を受けとる側は、確定申告の必要もなく、納税が済んだ後の所得が手元に残ります。

例えば、A社の社債を購入したBさんが金利を受け取る場合、A社がBさんの金利分の税金を支払って、納税後の金額をBさんに振り込むという具合です。

源泉分離課税の対象には、以下のような所得があります。

源泉分離課税の対象所得
  • 普通預金・定期預金・国債・地方債・社債などの利子所得
  • 私募の特定目的信託のうち、社債的受益権の収入の分配にかかる配当所得
  • 私募公社債等運用投資信託の収入の分配にかかる配当所得

源泉分離課税制度を採用する理由は、預貯金の利子所得に対する所得税の申告漏れや脱税を防ぐためです。

税務署が全ての個人の納税記録を一つ一つチェックすることはほぼ不可能なため、利子や配当を出す側の企業が納税を行う源泉分離課税制度が設立されました。

源泉分離課税の税率は、所得税(15%)・住民税(5%)・復興特別所得税(0.315%)の合計20.315%です。

上場株式等の配当所得はややこしい

総合課税とするか分離課税とするかの扱いが難しいのが、上場株式等の配当所得です。

配当所得のうち、上場株式等の配当に関しては「総合課税」か「申告分離課税」か「申告しない」かを選択することができます。

配当所得の納税方式内容
申告不要(源泉分離課税)申告不要制度を使い、確定申告をせずに納税する。
税率は20.315%となる。
総合課税確定申告をして、他の所得と合算して納税する。
総合課税のため、累進課税により税額が決まる。
配当控除を受けることができる。
申告分離課税確定申告をして、他の所得と分離して課税する。
上場株式等の譲渡損失との損益通算ができる。
税率は20.315%となる。

ここがポイント!

上場株式等の配当所得に関しては、所得税と住民税で異なる納税方式を使えます。

申告不要を利用するメリット・デメリット

申告不要の場合、税率は20.315%です。

申告不要の最大のメリットは、確定申告がいらないことです。

所得を受け取った段階で、納税が済んでいるので面倒な作業がいりません。

一方でデメリットは、総合課税や申告分離課税のように納税額を下げる仕組みを使えないことです。

総合課税を選択するメリット・デメリット

総合課税の税率は、他の所得と合算して累進課税方式で課税されます。

所得税の累進課税は、税率5%~45%まであり、所得が増えるほど税率が高くなります。

つまり、総合課税に属する所得が多い人は、配当所得を総合課税で納めるメリットはないでしょう。

総合課税を選択する最大のメリットは、配当控除を受けられることです。

配当控除とは、税額控除の一種で、納税額からそのまま控除できる節税効果の高い控除です。

総合課税を選択する一つの基準は、総合課税される所得金額が695万円以下の場合です。

つまり、給与所得と配当所得などの合計が695万円以下であれば、税率は20で済み、配当控除も加味するとお得になります。

申告分離課税を選択するメリット・デメリット

申告分離課税は、税率は20.315%です。

一見すると申告不要と同じように思いますが、申告分離課税には、最大のメリット損益通算繰越控除があります。

損益通算とは、所得の利益と損失を相殺することです。

例えば、A社とB社の上場株式を持っていて、A社は1,000万円の利益が出て、B社が800万円の赤字だった場合、それを合算して200万円に対する税金を支払う仕組みです。

仮に、申告不要を選んだ場合、A社の1,000万円に対して20.315%の税金を支払わなければいけないので、申告分離課税はかなりの節税です。

また繰越控除とは、3年間の損失が繰り越せる仕組みです。

例えば、前年の配当所得が-800万円で、本年の配当所得が1,000万円の場合、本年の課税所得は200万円で済む制度です。

これを3年間繰り越すことができるので、株式投資で赤字が出た時は、面倒くさがらずに申告分離課税を選択することがおすすめです。

所得を簡単に整理する一覧表

所得ごとの納税方式の一覧がこちらです。

一部細かなルールはありますが、〇 が原則となるので、〇だけ覚えておきましょう。

所得分類総合課税申告分離課税源泉分離課税
利子所得国外の銀行等
からの所得
配当所得
不動産所得
事業所得
給与所得
退職所得
山林所得
譲渡所得
土地・建物・株式

その他の譲渡
一時所得5年未満の
保険一時払金
雑所得

最後に この記事が30秒で理解できる!

所得税の課税方法には「総合課税」「分離課税」の2種類があります。

    • 総合課税:対象となる所得を合算した金額に課税する
    • 分離課税:各所得に応じて個別に課税する

さらに、分離課税も「申告分離課税」と「源泉分離課税」の2種類があります。

  • 申告分離課税:他の所得と区別して税額を計算し、確定申告により納税する
  • 源泉分離課税:所得を受け取る時点で、あらかじめ税金が源泉徴収される

特に上場株式等の配当所得は、「総合課税」「申告分離課税」「申告不要」の3つから選べるのでややこしく、配当所得を受け取る方は、損をしない方式を選択しましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

マネブロとは?

マネブロは、

「ブログを始めたいけど一人じゃ自信ない!」ブロガーの卵と

「お金の知識を身に着けたい!」読者の

両方のニーズを満たす実践型ブログコミュニティです。

╲ タップすると記事に飛びます ╱

おすすめ記事

こちらの記事もよく読まれています

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

TKG

ライター未経験ながら2020年ブログ執筆開始。税金や就業規則の記事を担当しています。 とっつきにくい分野のため、わかりやすい言葉で解説することを心がけてます。

-税金
-,

© 2024 マネブロ Powered by AFFINGER5