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林業にかかる税金とは?林業の所得の計算方法や特例について解説

山林所得

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所得10種のひとつである「山林所得」は、あまり聞き馴染みはない言葉ですが、林業経営者向けに定められた所得です。

山林所得は分離課税方式で、55乗方式という特別な計算方法を用いて所得を計算します。

本記事では、山林所得の計算方法や特別控除について解説いたします。

それでは、本編をどうぞ!

山林所得とは

山林所得とは、所有している山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡する事で生じる所得のことです。

ただし、山林を取得してから5年以内に伐採、譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。

また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は譲渡所得となります。

山林の立木は育成に長期間要しますが、経費は一年毎に計上しなければなりません。

しかし、伐採自体はすぐに終わるものなので、一度に多額の収益が得られます。

このように1年という会計期間で区切ると、伐採をした年に多額の所得税が発生してしまいます。

税負担を軽減するために、山林所得は他の所得とは異なる計算方法を用います。

所得を判断する基準所得の種類
保有期間が5年以内事業的規模事業所得
事業的規模ではない雑所得
保有期間が5年を超える山林所得

この場合の事業的規模とは、約50ヘクタール以上の山林を保有しているかが判断基準となります。

山林所得の計算方法

山林所得は先述した通り、その性質から他の所得とは分けて計算をする分離課税です。

山林所得の金額は以下の式で求められます。

山林所得の計算式

山林所得額 = 総収入金額 − 必要経費 − 概算経費控除 − 森林計画特別控除 − 特別控除(50万円) − 青色申告特別控除(10万円)

総収入金額

山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡して得た金額が、総収入金額となります。

ただし、山林を伐採し、自分の家や小屋を建てるなど自家消費した場合は、その木材を時価換算して計算します。

また、勘違いしやすい「果樹」は山林に当たらないため、果樹園を売却して得た所得は譲渡所得です。

必要経費

必要経費には山林の取得から売却までにかかった費用で、総収入金額から差し引くことができます。

山林の取得費用、植林や苗木の購入などの植林費、下草刈りや枝打ちなどの育成費、林業機械の減価償却費や森林組合費などの管理費、伐採費、搬出費、仲介手数料などの譲渡費用、災害による損失などが必要経費として認められます。

概算経費控除

長期間山林を所有していた人に適用される概算経費控除という特例があります。

この控除は、15年前の1231日よりも前から所有している山林を伐採したり譲渡した場合、収入金額から譲渡費用を引いた金額の50%をさらに経費として控除できます。

計算例

15年保有していた森林を伐採し、収入が1,000万円、譲渡費用が300万円

概算経費控除額 (1,000万円 − 300万円) × 50% = 350万円

森林計画特別控除

森林経営計画にのっとり山林の伐採・譲渡をした際には、次のイとロのうち金額の低い方の金額が控除されます。

ただし、概算経費率によって必要経費を計算した場合はイの金額が控除されます。

イ)収入金額基準
特例の適用がある山林の収入金額-譲渡費用 = A

(1)Aの金額が2,000万円以下のとき
    控除額 = A × 20

(2)Aの金額が2,000万円を超えるとき
    控除額 = A × 10 + 200万円

ロ)所得基準額
控除額 = (A – 譲渡費用 × 50%)(Aに対応する部分の必要経費譲渡費用)

5分5乗方式で税額を計算

山林所得の税額を計算する場合は、他の所得とは合計せずに、5分5乗方式という計算方法を用います。

山林所得税額 = (山林所得 × 1/5 × 税率) × 5

所得税の税率は以下の表の通りです。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え、330万円以下10%97,500円
330万円を超え、695万円以下20%427,500円
695万円を超え、900万円以下23%636,000円
900万円を超え、1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え、4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超え45%4,796,000円

5分5乗方式で所得税を計算することで、税負担が軽くなります。

山林所得が長期間に渡る山林経営によって発生する所得であることの配慮です。

では、実際に具体例を元に山林所得税額を比較してみましょう。

計算例

山林所得が600万円の場合

・5分5乗方式で計算
600万円 × 1/5 = 120万円
課税所得金額が120万円の税率は5%で、控除額は0円
山林所得税額 = 120万円 × 5% × 5 = 30万円

・通常の所得税の計算
課税所得金額が600万円の税率は20%で、控除額は42万7,500円
山林所得税額 = 600万円 × 20% − 42万7,500円 = 77万2,500円

5分5乗方式で計算した方が税負担が軽減されていることがわかります。

山林所得には消費税がかかる

山林所得には、事業所得や不動産所得と同様に消費税がかかります。

ただし、個人事業で山林所得が発生し、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は、消費税を申告する必要はありません。

山林所得は損益通算ができる

山林所得は損益通算することができます。

他にも不動産所得、事業所得、譲渡所得、退職所得が損益通算可能です。

損益通算とは一定期間内の利益と損失を相殺できる制度のことです。

利益が出ればその分だけ税金が発生しますが、損失分を差し引くことで総所得金額が減り、結果的に所得税を減らすことができます。

確定申告を行うことで最長3年間、損失を繰り越して控除することができます。

まとめ この記事が30秒で理解できる!

山林所得とは、所有している山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡する事で生じる所得のことです。

山林はその性質上、取得から収入を得るまでに時間がかかるので、他の所得とは分けて考えます。

税負担を減らすために各種特別控除があったり、5分5乗方式で所得税を計算します。

また、山林所得は損失が出たとしても、他の所得と相殺できる損益通算をすることが可能です。

 

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TKG

ライター未経験ながら2020年ブログ執筆開始。税金や就業規則の記事を担当しています。 とっつきにくい分野のため、わかりやすい言葉で解説することを心がけてます。

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