こんな悩みはありませんか?
- 酒税とはなにかが知りたい!
- 「お酒にどれくらい税金がかかるか」が知りたい!
- 「酒税法改正で何が変わるか」が知りたい!
今後、酒税法の改正によって酒税率(お酒にかかる税率)が変わります。「一律で酒税率が変わる」ということではなく、お酒の種類によって税率が上がるもの、反対に下がるものがあります。
今後3回の酒税法改正で、酒税率がどのように変化していくかについて徹底解説します。
目次
酒税とは
酒税とは、税務署が定める「酒税法」に基づいて定められた、「酒類に対して課される税金」です。ここでの「酒類」とは、「アルコール分が1%以上含まれる飲料」のことを指します。
飲料にかかる税金なので、消毒用・除菌用アルコールなどは当然非課税です。
「酒類」や「お酒」と言われても、ビールやワイン、日本酒など、お酒は種類が豊富です。
酒税法では、酒類を種類ごとに分類しています。
法改正される前の2020年8月時点では、以下のように分類されています。
発泡性酒類 | ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類 |
醸造酒類 | 清酒(日本酒)、果実酒(ワインなど)、その他の醸造酒 |
蒸留酒類 | 焼酎、ウイスキー、ブランデーなど |
混成酒類 | 合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュールなど |
さらに詳しく!
「その他の発泡性酒類」には、サワーやチューハイ、そして「新ジャンル」と呼ばれる「第3のビール」が含まれます。「その他の醸造酒」には、どぶろくや中国の黄酒などが含まれます。
2020年度の酒税率【酒税法の改正前】
酒税率は、酒税法で定める酒類の分類によって変わります。
そして、その酒税率は、1Kℓ(キロリットル)に対して定められています。
ここに注意!
コンビニやスーパーで売られている、一般的なサイズの缶は350mℓです。1Kℓは、その2,800本の量です。
2020年8月現在の酒税率は、以下の表のようになっています。
分類 | 税率(1kℓあたり) | アルコール分 1度あたりの加算額 | |
発泡性酒類 | 基本税率 (主にビール) | 220,000円 | ー |
発泡酒(麦芽比率25〜50%未満) | 178,125円 | ー | |
発泡酒 (麦芽比率25%未満) | 134,250円 | ー | |
その他の発泡性酒類 (新ジャンル等) | 80,000円 | ー | |
醸造酒類 | 基本税率 | 140,000円 | ー |
清酒(日本酒) | 120,000円 | ー | |
果実酒(ワイン) | 80,000円 | ー | |
蒸留酒類 | 基本税率 | 200,000円(アルコール21度未満) | 10,000円(アルコール21度以上) |
ウイスキー、ブランデー、スピリッツ | 370,000円(アルコール38度未満) | 10,000円(アルコール38度以上) | |
混成酒類 | 基本税率 | 220,000円(アルコール21度未満) | 11,000円(アルコール21度以上) |
合成清酒 | 100,000円 | ー | |
みりん・雑酒 | 20,000円 | ー | |
甘味果実酒、リキュール | 120,000円(アルコール13度未満) | 10,000円(アルコール13度以上) | |
粉末酒 | 390,000円 | ー |
さらに詳しく!
「蒸留酒類」と「混成酒類の合成清酒、みりん・雑酒、粉末酒以外」に限り、それぞれ一定のアルコール度数を超えると、アルコール分1度あたりの酒税が加算されます。
先ほども解説しましたが、この酒税率の表は、1Kℓに対する税率なので、分かりやすくビールなどの発泡性酒類を実際によく見る350mℓに換算してみましょう。
発泡酒酒類350mℓあたりの酒税は、以下のとおりです。
分類 | 税率(350mℓあたり) | |
発泡性酒類 | 基本税率(主にビール) | 77円 |
発泡酒(麦芽比率25〜50%未満) | 62円 | |
発泡酒(麦芽比率25%未満) | 47円 | |
その他の発泡性酒類 (新ジャンル等) | 28円 |
因みに750mℓのワインボトルは60円、1合(180mℓ)の日本酒は21円の税金がかかります。
酒税率の変更点【酒税法の改正後】
2018年に段階的に酒税法を改正するということが決定し、2020年10月、2023年10月、2026年10月の3回に分けて変更されることになりました。
法改正を段階的に行う目的は、「急激な値上げにより、消費者や酒造業者を混乱させないこと」が狙いです。この手法は、消費税の改定でも使われていますね。
2020年10月の1回目の改正では、発泡性酒類と醸造酒類が変更対象です。
それぞれの改正で具体的に何が変更になるのか、表で確認しましょう。
酒税法改正による発泡性酒類の変更点
2020年10月の改正から、毎回酒税率の変更があります。
そして、2023年10月以降、「発泡酒」と「新ジャンル(第3のビール)」が「発泡酒」として統一されます。
また、2026年10月以降は、「ビール」と「発泡酒」という区分が無くなり、「発泡性酒類」として統一されます。
ここがポイント!
発泡性酒類は、チューハイを例外として、2026年10月に「一律の酒税率」になります!
以下の表は、350mℓあたりの税率の変遷をまとめたものです。
2020年8月時点 | 2020年10月 | 2023年10月 | 2026年10月 | |
ビール | 77円 | 70円 | 64円 | 55円 |
発泡酒(麦芽比率25〜50%未満) | 62円 | 59円 | 55円 | 55円 |
発泡酒(麦芽比率25%未満) | 47円 | 47円 | 47円 | 55円 |
新ジャンル (第3のビール) | 28円 | 39円 | 47円 | 55円 |
チューハイ | 28円 | 28円 | 28円 | 35円 |
この酒税法の改定で顕著なのは、消費者の低価格志向が反映されている改定になっている点です。
近年は若者のビール離れが叫ばれ、ビール類の出荷量は14年以上下がり続ける一方で、第3のビールと呼ばれる新ジャンルや、低価格のチューハイなどが売上を伸ばしています。
このような状況を踏まえ、ビールの税率を下げ、新ジャンルの税率を上げることで、「ビールに消費者を戻したい」という思惑と、「売上が伸びている第3のビールとチューハイからの税収を増やしたい」といった思惑がみえます。
酒税法改正による醸造酒類の変更点
2023年10月以降、日本酒などの「清酒」とワインなどの「果実酒」は「醸造酒類」として統一されます。
以下の表は、350mℓあたりの税率の変遷をまとめたものです。
2020年8月時点 | 2020年10月 | 2023年10月 | |
清酒(日本酒) | 42円 | 39円 | 35円 |
果実酒(ワイン) | 28円 | 32円 | 35円 |
ここがポイント!
醸造酒類も、2023年10月に一律の酒税率になります!
果実酒(ワイン)は増税していき、清酒(日本酒)は減税していくことがわかります。
まとめ この記事が30秒で理解できる!
酒税とは、税務署が定める酒税法に基づいて定められた「酒類に対して課される税金」で、その税率はお酒の酒類や区分によって異なります。
計3回の酒税法の改正により、350mℓあたりの酒税は、2023年10月に醸造酒類で一律35円、2026年10月には発泡性酒類で一律55円になります。
ビールと清酒は減税し、発泡酒や「新ジャンル」と呼ばれる第3のビール、チューハイ、果実酒は増税します。
お酒を毎日飲む家庭ではお酒の量を減らしたり、飲む種類を変えたりするなど、見直しも必要になるでしょう。