こんな悩みはありませんか?
- 配偶者控除と配偶者特別控除ってなに?
- 配偶者の所得がいくらまでなら、控除を受けられるの?
- 配偶者控除と配偶者特別控除の2020年からの変更点が知りたい!
配偶者控除と配偶者特別控除は、所得から一定額を控除して、所得税・住民税の納税額を下げる、夫婦共働きの家庭に嬉しい制度です。
「103万円の壁」という言葉を聞いたことがあると思いますが、この壁に関係しているのが、配偶者控除と配偶者特別控除です。
この記事では、配偶者控除と配偶者特別控除の仕組みや条件について、詳しく解説していきます!
そもそも所得税についてがあまりわからない方は、所得税の税率や計算方法について読むと、この記事がより理解できます。
5分で理解!所得税の税率は?計算方法は?年末調整で節税する方法!
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目次
配偶者控除・配偶者特別控除とは?
配偶者控除と配偶者特別控除は、納税者に配偶者がいる場合、所得税から控除される仕組みです。
サラリーマンの家庭であれば、年末調整することで所得から控除することができます。
配偶者控除と配偶者特別控除は、2018年度の税制改正で見直され、控除額などが変更され、2018年の税制改正で以前よりも優遇されるようになりました。
配偶者控除とは?
配偶者控除は、納税者本人に配偶者がいる場合に、最大38万円の所得控除が受けられる制度です。
38万円の控除を受けるためには、配偶者の所得を年間48万円(給与所得のみの場合は103万円以下)までに抑える必要があります。
控除を受けるための条件
配偶者控除を受けるためには、その年の12月31日の時点で控除対象配偶者が以下の条件に全て当てはまる必要があります。
- 民法上による配偶者であること(内縁関係を除く)
- 納税者と生計を共にしていること
- 年間の合計所得金額が48万円以下(給与所得のみの場合は103万円以下)であること
- 青色申告者の事業専従者として、その年一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者ではないこと
さらに詳しく!
青色申告や白色申告の事業専従者とは、簡単に説明すると、個人事業主やフリーランスの家族で、従業員として働いている人のことを指します。
控除金額
控除額には、納税者の所得金額が関わってきます。
納税者の所得が900万円(給与年収1,120万円)以下の場合は、38万円の控除が受けられます。
それ以降は、段階的に控除額が減少します。
納税者の所得ごとの控除額は以下の表の通りです。
納税者の所得 | 納税者の給与年収 | 控除金額 |
900万円以下 | 1,120万円以下 | 38万円 |
900万円超え、950万円以下 | 1,170万円以下 | 26万円 |
950万円超え、1,000万円以下 | 1,220万円以下 | 13万円 |
※上記表の給与年収は、納税者の所得が給与所得だけの場合の金額
2020年からの変更点
配偶者控除を受けるための配偶者の年間所得が38万円でしたが、2020年から48万円へと変更されました。
ここに注意!
配偶者の年間所得が38万円から48万円に引き上げられましたが、配偶者控除は38万円のままです。
一見すると、控除適用範囲が増えたように思いますが、そうではありません。
それには、給与金額に応じて控除が受けられる給与所得控除が関わっています。
給与所得控除は、給与収入の金額に応じて控除を受けることができます。
つまり、納税者の配偶者が、アルバイトやパートをしている場合は、給与所得の対象になります。
以前は、給与収入が65万円以下の場合は全額控除を受けられていました。
しかし、2020年の改正で全額控除が65万円以下から55万円以下に減額されました。
つまり、配偶者控除の適用所得と、給与所得控除の適用所得を合計すると103万円のままなのです。
配偶者控除適用所得 | 給与所得控除適用所得 | 適用所得合計 | |
2019年まで | 38万円 | 65万円 | 103万円 |
2020年以降 | 48万円 | 55万円 | 103万円 |
アルバイトで生計を立てる独身の方などは、今まで65万円まで非課税だったものが、2020年からは課税対象となりました。
特に働く高齢者が増えていくため、それを見越した制度改定といえるでしょう。
配偶者特別控除とは?
配偶者特別控除とは、配偶者控除の適用外となる場合に、適用される控除です。
つまり、配偶者の所得が48万円(給与所得103万円)を超える場合に、適用されるのが配偶者特別控除です。
配偶者特別控除は、配偶者の所得金額に応じて段階的に控除金額が変わります。
控除を受けるための条件
配偶者特別控除を受けるためには、その年の12月31日の時点で控除対象配偶者が以下の条件に全て当てはまる必要があります。
- 民法上による配偶者であること(内縁関係を除く)
- 納税者と生計を共にしていること
- 年間の合計所得金額が48万円超え133万円以下であること
- 青色申告者の事業専従者としてその年一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者ではないこと
- 納税者本人のその年の合計所得金額が1,000万円以下であること
- 配偶者が配偶者特別控除を適用していないこと
ここがポイント!
6の条件があることで、夫婦がどちらも配偶者特別控除を受けることを阻止しています。
控除金額
配偶者特別控除の納税額にも、納税者の所得金額が関わってきます。
納税者の所得金額は配偶者控除の金額と同じで、900万円(給与所得1,120万円)以下、950万円(給与所得1,170万円)以下、1,000万円(給与所得1,220万円)以下で変わります。
2020年からは、納税者の所得が900万円以下で、配偶者の合計所得金額が48万円~95万円の場合、配偶者控除と同じ38万円の控除が受けられます。
この48万円~95万円の所得は、給与年収でいえば103万円~150万円です。
2020年以降の配偶者特別控除の控除金額はこちらです。
配偶者の合計所得金額 | 配偶者控除額 | ||
900万円以下 | 900万円超え、950万円以下 | 950万円超え、1,000万円以下 | |
48万越え、95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万越え、100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万越え、105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万越え、110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万越え、115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万越え、120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万越え、125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万越え、130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万越え、133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
さらに詳しく!
2018年、2019年の配偶者特別控除の控除金額はこちらです。
配偶者の合計所得金額 | 配偶者控除額 | ||
900万円以下 | 900万円超え、950万円以下 | 950万円超え、1,000万円以下 | |
38万越え、85万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
85万越え、90万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
90万越え、95万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
95万越え、100万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
100万越え、105万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
105万越え、110万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
110万越え、115万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
115万越え、120万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
120万越え、123万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
2020年からの変更点
配偶者特別控除の適用範囲が2019年の38万円~123万円から、2020年は48万円~133万円に変更されました。
しかし、給与所得控除の全額免除は55万円以下になるため、給与所得は、課税対象になります。
「〇〇万円の壁」
配偶者控除と配偶者特別控除について解説してきましたが、それに関わる「103万円の壁」「150万円の壁」「201万円の壁」という言葉について解説します。
103万円の壁 | 給与所得控除の55万円と、配偶者控除の48万円を足した103万円 給与所得が非課税となるための、配偶者の上限給与 |
150万円の壁 | 配偶者特別控除を、満額の38万円まで受け取るための、配偶者の上限給与 |
201万円の壁 | 配偶者特別控除を受け取るための、配偶者の上限給与(給与が201万円を超えると、配偶者特別控除の適用外となる) |
まとめ この記事が30秒で理解できる!
配偶者控除とは、納税者に配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。控除金額は満額で38万円です。
配偶者特別控除とは、配偶者控除適用外の場合に受けられる所得控除です。控除金額は満額で38万円、配偶者の合計所得金額が38万円から123万円の範囲内で適用されます。
配偶者控除と配偶者特別控除は、「103万円」「150万円」「201万円」を境に、支払う税金の金額が変わってきます。
夫婦で働く際にはこの金額に注意しましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。