こんな悩みはありませんか?
- 株式投資を始める前に、必要な知識を身に付けたい!
- ROE(自己資本利益率)って一体なに?
- ROE(自己資本利益率)の目安ってあるの?
株式投資を始めるためには、さまざまな指標の意味を理解する必要がありますが、「ROE」もその一つです。
ROEは、「自分が投資した時に、うまく事業に活用してもらえるのかどうか」を計る重要な指標であり、「ROA」と似た指標です。
この記事では、「ROEとは一体なんなのか?」「どのくらいの数値が目安なのか?」などについて解説します。
ROE(自己資本利益率)とは
ROE(Return On Equity)とは、「当期純利益」を「自己資本」で割ることにより、「自己資本に対して、どれくらいの利益を上げたのか?」を示す指標のことです。「アールオーイ―」と読み、日本語では「自己資本利益率」と訳します。
「自己資本」とは、会社にある現金・株式・不動産・車などを指し、会社の資産から銀行からの借り入れなどの「負債」や「新株予約権」「非支配株主持分」「その他の包括利益累計額」を抜いたものです。
ROEの計算式
ROE=当期純利益÷自己資本
「ROE」のポイントは、負債を含まずに自己資本を使って、「どのくらい効率的に利益を獲得しているのか?」という点です。
返済義務のない純粋な資本を使って生み出された利益なので、ROEの数値が高いほど、安定的に経営が行われているともいえます。
投資家目線からすれば、自身が株式投資した際に、「投資した資金でどれほどの利益を生み出せるのか?」を計る指標となるため、投資銘柄を選定する上で重要な指標です。
ここに注意!
ROEの分子は、基本的には「当期純利益」を使いますが、中には「経常利益」を使って計算する場合があります。
その場合は「自己資本経常利益率」とも呼ばれますが、これも間違いではありません。
尚、株式投資家の多くが愛用する会社四季報のROEは、「当期純利益」で計算された一般的なROEです。
当期純利益
当期純利益とは、法人税などの税金も納めた後に残った、最終的に手残りする利益を指します。
つまり、企業が「1年間の活動でどれだけ稼いだか」を知る、利益のゴールといえます。
さらに詳しく!
ちなみに、法人の利益でよく使われる「粗利」は「売上総利益」を指し、売上高から売上原価を引いたものです。粗利は、商品やサービス自体の利益率を計るために使われることがあります。
また、株式銘柄の判断指標として「経常利益」もよく使われますが、 経常利益は企業が通常(経常的に)行う業務で得た利益を指します。企業の商品やサービスを販売して稼いだ営業利益に加えて、受取利息や不動産賃貸料収入などの営業外利益、銀行借入金の利息、社債の利息などの営業外費用を計算したものが「経常利益」です。
経常利益は、企業が継続して安定的に利益を出しているかどうかを見極めるために使える指標のため、株式投資家にもっとも注目されています。
自己資本
「自己資本」とは、会社の総資産のうち、銀行からの借り入れなどの「負債」や「新株予約権」「非支配株主持分」「その他の包括利益累計額」を抜いたものです。
現金・株式・不動産・車などの返済義務が生じない資産のことです。
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「当期純利益」を「会社の総資産」で割ることにより、資産に対してどれくらいの利益を上げたのか?を示す指標が「ROA」です。アールオーエーと読み、日本語では「総資産利益率」と訳します。
「総資産」とは、会社にある現金や不動産などの「純資産」と、銀行などから借り入れした「負債」の合計額で、それに対する利益の割合(%)がROAです。
ROEとの違いは、「負債」などを含んだ全ての資産に対する利益率ということです。
ROE(自己資本利益率)の目安
経済産業省のデータによると、日本の上場企業のROE平均は、2018年度で9.4%であり、一般的にROE10%以上だと優良企業といわれています。
また、ROEが70%以上で「理想的」、40%以上で「倒産しにくい」といわれています。
年度 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
ROE | 8.1% | 8.8% | 10.3% | 9.4% |
しかし、業界によって平均値が変わってくるため、ROEは同業他社の数字を比較することが重要です。
日本経済新聞では、下の写真のように企業のROEランキングを1位から順に掲載しており、業種別にランキングをみることができます。
株式の売買を検討している企業のROAが「業界の中でどの位置にいるか」を見てみるといいでしょう。
小売業界のROE(2020年10月現在)尚、同じく「小売業界」のROAも比較のため、以下に載せます。
ROAは分母が総資産となるため、値(%)がROEより低くなる傾向があります。
小売業界のROA(2020年10月現在)ここに注意!
日本経済新聞のROEは、「自己資本経常利益率(%)」と訳され、経常利益に対する自己資本の割合を計算しています。
ROEとROAの関係性
「ROEが高く、ROAが低い」企業は、自己資本に対しては利益率が高いのに対して、総資産に対しては利益率が低いことになります。
つまり、総資産に占める「負債」が多いことがわかります。
例えば、事業拡大のために銀行から借金をして利益を生んだ場合も、ROEは高くなります。
そのため、ROEの数字が業界水準よりも高かった場合も、借金が増えて経営を圧迫している可能性もあるので、ROEだけで投資対象を見極めるのは危険です。
しかし、それだけでは片手落ちなので、投資対象をROEだけで判断するのは危険です。
まとめ この記事が30秒で理解できる!
ROE(株主資本利益率)とは、「当期純利益」を「自己資本」で割ることにより、「自己資本に対してどれくらいの利益を上げたのか?」を示す指標のことです。
ROEの計算式は「ROE=当期純利益÷自己資本」です。
一般的に、ROEは10%以上で「優良企業」であるといわれていますが、ROEが業界平均よりも高くてもROAが極端に低い場合は、「借金体質」の企業と判断できます。
ROEを投資銘柄の判断基準とすることは重要ですが、それだけで判断しないように、ROAも含めたその他の指標を使って投資銘柄を選定してみましょう。