税金

自己破産したら税金の支払い義務はなくなる?

こんな悩みはありませんか?

  • 自己破産について知りたい
  • 自己破産した場合に税金の支払い義務はなくなるのか知りたい
  • どうしても税金が支払えない場合の対処方法について知りたい

借金の支払いができない場合に自己破産をし、借金返済を免除することができます。それでは滞納している税金はどうでしょう。結論から言うと税金の支払い義務がなくなることはありません。

ですので自己破産をしたからといって、滞納分を放っておくと大変なことになります。本記事では自己破産と税金の関係についてや、税金が支払えない場合の対処方法について解説します。

そもそも自己破産とは

自己破産とは財産や収入が不足し、借金の返済ができなくなった時に、裁判所に申し立てを行い、借金の返済を免除してもらう手続きのことです。

自己破産は個人的な手続きなので、家族や親族に影響が及ぶことはありません。ただし、保証人になっている人には、借金をした本人に代わって返済が要求されます。

また、マイホームなどの高価な財産を持っている場合は、裁判所によって換金され債権者に分配されます。安易な自己破産は家族に迷惑をかけ流でしょう。

自己破産のメリット・デメリット

自己破産をすると住宅ローンなどの借金の返済義務が無くなるメリットがありますが、当然デメリットもあります。自己破産のメリット・デメリットを紹介します。

自己破産のメリット自己破産のデメリット
  • 借金の返済が免除される
  • 金融機関からの請求・督促がなくなる
  • 全ての財産が処分されるわけではない
  • 誰でも裁判所に申し立てをすることができる
  • 個人信用情報に事故として載る(ブラックリスト)
  • 原則、20万円以上の財産、99万円以上の現金は処分される
  • 免責が決定するまで職業・資格に制限を受ける
  • 保証人に返済義務が移る
  • 弁護士等に依頼する場合、高額な費用が必要になる
  • 国が発行する官報に住所・氏名などが載る

自己破産の手続き

自己破産の手続きの簡単な流れを説明します。

  1. 弁護士または司法書士に依頼をする
  2. 「破産手続き」と「免責手続き」の申し立てを行う
  3. 「破産審尋」が行われる
  4. 破産手続き開始の決定がなされる
  5. 「免責審尋」が行われる
  6. 免責許可の決定がなされる
  7. 官報に住所・氏名・主文などが掲載される

破産審尋とは本人に返済能力がないかを裁判所が確認することです。「なぜ借金が増えたのか」「なぜ返済できなくなったか」などが問われます。

免責審尋とは本人が免責するに値する人物かを確認することです。証言に嘘偽りがないかなどが問われます。

自己破産しても税金の支払い義務はなくならない

前述したように自己破産をすると借金の返済が免除されますが、滞納している税金などの支払いは免除されません。税金のように自己破産をしても支払い義務が免除されないものを、「非免責債券」といいます。

以下、破産法第二百五十三条第一項の一部抜粋です。下記の1.租税等の請求権が税金に該当します。税金以外にも国民年金や国民健康保険料、水道代、下水処理代などが租税等の請求権に含まれます。

免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

  1. 租税等の請求権
  2. 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  3. 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
  4. 以下略

税金は偏頗弁済(へんぱべんさい)に含まれない

偏頗弁済とは、債務者が特定の債権者だけに返済したり、担保を提供したりすることです。自己破産では特定の債権者だけに優先的に借金を返済することを禁止しています。なぜなら債権者平等の原則に反するからです。

ただし、税金の支払いに関しては、偏頗弁済の原則に当てはまりません。つまり、自己破産をする前に、滞納している税金を優先的に支払っても何も問題はありません。

しかし、滞納している税金を支払うために新たに借金をして、その後自己破産をすることで借金を踏み倒す行為は禁止されています。自己破産寸前に返済するつもりのない借金をしたとして、自己破産が認められなくなるか、あるいは罪に問われる可能性もあります。

滞納している税金を支払うためには、新たに借金をせずに、手持ちの財産で支払いましょう。

税金を滞納するリスク

税金を滞納すると様々なリスクが伴います。解説した通り税金は偏頗弁済に当てはまらないので、優先的に支払いをしましょう。以下では、特に代表的なリスクについて紹介します。

延滞税が課される

延滞税は、納付期限までに支払われるべき税金を納付していない場合に、課税されます。延滞税の税額は以下の式で求められます。

延滞税 = 滞納している税額 × 延滞利率 × 延滞日数 ÷ 365日

延滞利率は納付期限を過ぎた日数に応じて変わります。

納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで年7.3%または延滞税特例基準割合+1%の低いほう
納付期限の翌日から2ヶ月を経過後年14.6%または延滞税特例基準割合+7.3%の低いほう

令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間の特例基準割合は、上段の場合は年2.5%、下段の場合は年8.8%です。この割合は毎年変化します。

ただし、納付すべき住民税の額が2,000円未満、または延滞税が1,000円未満であれば延滞税はかかりません。

ちなみに、こちらの記事では脱税や申告漏れ、所得隠しによるペナルティについて解説しています。

差押えを受ける

役所から督促状発行後も税金の支払いが確認できない場合は強制的に財産を差押えられることが可能になります。しかし、実際にこの段階で差押えられることは滅多にないです。

その後、「納税をしないと差押えをする」という警告の意味が込められている催告書が送付されます。それでも滞納を続けると行政から最終通告である「差押え予告書」が送られ、差押えが現実的なものになります。

滞納者の財産が徹底的に調べられ、収入状況を把握するために会社にも聞き取り調査が行われます。この時点で滞納が会社に知られてしまうので、会社との信頼関係も損なうことになりかねません。

調査により財産が見つかれば差押えが行われます。銀行口座からは滞納分が差押えられ、預貯金がなければ給料の一部が差押えられます。ただし、差押えられる給料は原則4分の1までです。

税金の支払いを免除できる方法はある?

税金には時効という制度があり、一定期間が経過すると支払い義務が無くなります。しかし、実際に時効になることは制度上ほぼありません。

また、3年間生活保護を受けると税金の支払いが免除になります。こちらの方が税金の支払い義務から免れる方法としては現実的でしょう。

時効による免除

税務署は国税の金額を確定させることができる賦課権と、確定した税金の支払いを求められる徴収権を保持しています。しかし、2つの権利を執行できる期間には制限があり、この期間が過ぎることを税金における時効といいます。

賦課権の除斥期間は以下の通りです。

  1. 原則、法定申告期限から5年
  2. 贈与税は法定申告期限から6年
  3. 偽りその他不正行為によって税額を免れる、または還付を受けた場合は上記1、2に限らず法定申告期限から7年
  4. 法人税に係る純損失等の金額を増加または減少させた場合は法定申告期限から9年

一方で、徴収権の消滅時効は5年間です。国税の法定申告期限から徴収権が5年間行使されないと、権利は消滅します。ただし、税金の滞納者に税務署から督促や財産の差押え、差押え前の督促状の送付などがあった場合は消滅時効の中断が起きます。中断が発生すると経過日数は0日になり、消滅時効までに再び5年間が設定されます。

時効が成立すれば税金の支払い義務はなくなりますが、税務署は税金の滞納をしっかりと把握しているので、時効が成立することはまずないでしょう。

税金の時効については以下の記事でさらに詳細に解説しています。

関連記事!
税金に時効があるのかを解説!実際に時効は成立する?

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3年間生活保護を受ける

生活保護の対象になると、税金の滞納処分は一時的に執行停止され、税務署からの請求もなくなります。その後、執行停止から3年経過すると滞納分の支払いが免除されます。

ただし、滞納処分の一時停止直後に、税金の支払いが免除されるわけではないので注意しましょう。また、3年の間に生活保護の対象から外れた場合は、税金の支払い義務は無くなりません。

どうしても税金が支払えない場合の対処方法

手持ちの財産がなく、どうしても税金が支払えない場合の対処方法をご紹介します。また、借金をしている人は自己破産以外にも「任意整理」や「個人再生」という手段があります。

税務署や役所に相談する

まずは役所へ相談をしましょう。国税は管轄の税務署で、地方税は管轄の役所の納税課で税金の相談ができます。担当者に滞納している事情を話し、支払う意思があることが伝われば、何かしらの解決策を提示してくれるはずです。

また、自己破産をして人は「破産手続き開始決定書」や「免責決定書」を役所に持参しましょう。自己破産をしても税金の支払いは免除されませんが、支払い猶予が与えられるかもしれません。

任務整理

任意整理とは、裁判所への申し立てをせずに、債務者が債権者にに対して返済金額や金利を減少するよう交渉することです。違法な金利で借入をしていた場合に、金利を計算し直して元本を減額することができます。過払金の清算を行うことで借金がゼロになる可能性もあるでしょう。

任意整理のメリット任意整理のデメリット
  • 裁判所への申し立てが不要なので、費用が抑えられ、手続きも簡単である
  • 利息負担が軽減する
  • 財産を残すことができる
  • 債務整理をしたことをが家族や親族にばれづらい
  • 個人信用情報に事故として載る(ブラックリスト)
  • 交渉が上手くいかないこともある

個人再生

個人再生とは、土地や家などの手放したくない財産を手元に残しながら、借金を支払える金額へと減額することです。裁判所に申し立てをし認められると、3年から5年で無理なく返済できる金額に減額されます。手放したくない財産があり、一定の収入がある方は個人再生を検討しましょう。

個人再生のメリット個人再生のデメリット
  • 借金を減額することができる
  • 住宅ローンの支払い中であれば、住宅を残せる
  • 金融機関による差押えを止めることができる
  • 個人信用情報に事故として載る(ブラックリスト)
  • 任意整理に比べて手続きが複雑で費用もかかる
  • 個人再生が認められる条件が厳しい

まとめ この記事が30秒理解できる!

自己破産とは借金の返済ができなくなった時に、裁判所に申し立てを行い、借金の返済を免除してもらう手続きのことです。しかし、様々なリスクが存在するので、安易に自己破産をしないようにしましょう。

また、税金は「非免責債券」に該当するので、たとえ自己破産をしても税金の支払い義務は無くなりません。税金は滞納せずに優先的に支払いましょう。

どうしても税金の支払いができない場合は、まず役所へ相談しましょう。支払いが猶予されるかもしれません。自己破産以外にも「任意整理」や「個人再生」という制度を利用すれば、借金が減額できる可能性もあります。

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ライター未経験ながら2020年ブログ執筆開始。税金や就業規則の記事を担当しています。 とっつきにくい分野のため、わかりやすい言葉で解説することを心がけてます。

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