こんな悩みはありませんか?
- 利子に税金がいくらかかっているの?
- 利子所得の非課税制度はあるの?
利子所得とは、銀行預金の利子や国債・地方債の利子による所得のことです。
銀行預金は超低金利なので税金を気にしたことがない方も多いかもしれませんが、しっかりと納税されています。
基本的に利子所得は源泉分離課税方式が採用されており、給与所得などの他の所得とは合計せず、個別で所得税の計算を行います。
この記事では、FP監修のもと、利子所得をわかりやすく解説したうえで、納める税金の計算方法や、非課税枠について解説します。
一部、源泉分離課税ではなく総合課税の扱いとなる所得もあるので、この機会に覚えてしまいましょう。
それでは、本編をどうぞ!
目次
利子所得とは?わかりやすく一言で
利子所得とは、銀行の預貯金や公社債の利子、合同運用信託・公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託の収益の分配にかかる所得のことです。
合同運用信託・公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託以外の投資信託による所得は、配当所得に該当するので注意が必要です。
ただし、以下の利子収入は利子所得ではなく雑所得になります。
雑所得の扱いになる所得
- 役員や退職者、従業員の家族などが預けた勤務先預金の利子
- 学校債、組合債等の利子
- 会社等に身元保証金として預金していた場合の利子
- 定期預金にかかる契約や、銀行法の契約に基づく金融商品に対しての掛金と給付金の差額
- 所得税等の還付加算金
利子所得の金額と税額の計算方法
利子所得は源泉分離課税の扱いになる
利子所得の金額は、受け取った利子がそのまま所得金額となります。
ややこしいですが、利子所得は総合課税と源泉分離課税の対象になります。
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利子所得は、所得税法第22条においては総合課税とされています。しかし、租税特別措置法第3条において分離課税とされています。
本来であれば総合課税となるはずの利子所得ですが、複数の銀行口座などを保有している場合、税務署も正確に利子所得を判断するのが困難ですよね。
そのため、「分離課税の特例」が採用され、一律に20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の税率の源泉分離課税になっています。
そのため、基本的に利子所得は確定申告は不要です。
計算例
普通預金金利が0.1%で1,000万円を銀行に1年間預けた場合
利子所得の源泉徴収税額 = 1,000万円 × 0.1% × 20.315% = 2,031円
注意点として、平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に支払を受ける利子等については、所得税とともに所得税の額の2.1%の復興特別所得税が源泉徴収されます。
総合課税の扱いになるパターン
利子所得は、基本的に源泉分離課税で処理されますが、海外の銀行に預金があり利子を受け取った場合は、総合課税の扱いとなり確定申告する必要があります。
総合課税の場合は、確定申告しなければなりませんので、確定申告書の「利子所得」欄に金額を記入して、確定申告をします。
続きを見る【2021年版】令和2年ぶん確定申告のまとめ|申請書の書き方や申請方法について解説
利子所得の非課税制度
利子所得のうちいくつか非課税となるケースがあります。
ここでは代表的なものを3つ紹介します。
さらに詳しく!
納税貯蓄組合預金の利子、納税準備預金の利子、子供銀行の預貯金等の利子も非課税になりますが、稀なケースなので割愛します。
障害者等の少額貯蓄非課税制度
この非課税制度には、通称「マル優」と呼ばれる「障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度」と、「特別マル優」と呼ばれる「障害者等の少額公債の利子の非課税制度」があります。
一定の条件を満たすことで、マル優は預貯金の元本350万円までの利子が非課税となり、特別マル優は国債と地方債の額面350万円までの利子が非課税になります。
マル優と特別マル優は別々に利用することができ、併用すると700万円までの利息が非課税になります。
なお、障害者等の郵便貯金の利子所得の非課税制度は、郵政民営化に伴い廃止されました。
ただし、郵政民営化前に非課税の適用を受けて預入された一定の郵便貯金の利子については、満期(又は解約)までの間は非課税とされています。
マル優、特別マル優を利用できる人は以下に該当する人です。
マル優、特別マル優を利用できる人
- 障害者手帳の交付を受けている人
- 遺族基礎年金を受けている妻
- 寡婦年金を受けている人
- 障害者年金を受けている人
- 母子年金を受けている人
勤労者財産形成住宅貯蓄の利子非課税制度
勤労者財産形成住宅貯蓄の非課税制度とは、勤労者の持ち家取得の促進を図ることを目的に税金の面で援助するもので、元本550万円までの利子等の所得税は非課税とする制度です。
この制度とは別に、勤労者財産形成年金貯蓄の非課税制度も利用する場合は、両方の元本を合わせて550万円までの利子が非課税となります。
この制度を受ける条件は契約締結時に55歳未満の勤労者で、勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人です。
ただし、退職等の理由で条件に不適格となると非課税制度は利用できなくなります。
勤労者財産形成年金貯蓄の利子非課税制度
勤労者財産形成年金貯蓄の非課税制度とは、勤労者の計画的な財産形成、特に老後の生活安定を目的に税金の面で援助するもので、元本550万円までの利子等の所得税は非課税とする制度です。
こちらの制度も同様に勤労者財産形成住宅貯蓄の非課税制度との併用の場合は、両方の元本を合わせて550万円までの利子が非課税となります。
この制度を受ける条件は契約締結時に55歳未満の勤労者で、勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人です。
ただし、退職等の理由で勤労者に該当しなくなっても、その退職が年金貯蓄の積み立て期間の終了後などの場合は、一定の手続きをする事で引き続き非課税制度を利用できます。
利子所得と配当所得の違い
利子所得と似ている所得で配当所得というものがあります。
配当所得とは、株の配当や株式投資信託の分配金などによる所得です。
具体的には以下の所得が該当します。
配当所得の扱いになる所得
- 上場株式の配当
- 非上場株式の配当
- 剰余金の分配
- 株式投資信託の分配金
配当所得は原則、源泉徴収されてから支払われるので確定申告をする必要はありません。
ただし、総合課税や申告分離課税として確定申告した方が税金面で有利になるなら、確定申告をすることができます。
利子所得 | 配当所得 | |
収入源 | 銀行預金の利息、公社債投資信託の分配金など | 株式の配当金、株式投資信託の分配金 |
確定申告の有無 | 源泉徴収されるので確定申告不要 | 源泉徴収 or 総合課税・申告分離課税として確定申告 |
同じ分配金による所得でも国債や社債の投資信託は利子所得、株式の投資信託は配当所得となるので混同しないように注意しましょう。
さいごに この記事が30秒で理解できる!
利子所得とは、銀行の預貯金や公社債の利子、合同運用信託・公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託の収益の分配にかかる所得のことです。
利子所得は利子を受け取る際に、所得税が源泉徴収されるので確定申告をする必要はありません。
利子所得には通称「マル優」「特別マル優」と呼ばれる非課税制度があり、合計元本700万円までの利息が非課税となります。
また、勤労者の財産形成を目的とした住宅貯蓄・年金貯蓄の非課税制度があり、併用する場合は元本合計550万円までの利子が非課税となります。
配当所得は利子所得とは異なり、源泉分離課税、総合課税、申告分離課税と税金面で有利な方法を選択することができます。