こんな悩みはありませんか?
- 非課税所得とはなにか知りたい
- どのような所得が非課税所得なのか知りたい
- 非課税の適用を受ける手続き方法が知りたい
所得税は、全ての所得に対して課税することを原則としてますが、所得の中には社会的政策やその他の理由から、所得税が課されないものがあります。
本記事ではそんな非課税所得について、基本的な内容から詳しい種類まで解説します。
所得税についてはこちらで基本を解説しています。 続きを見る5分で理解!所得税の税率は?計算方法は?年末調整で節税する方法!
目次
非課税所得とは
非課税所得とは、その名の通り所得税の課税対象とならない所得のことです。
非課税所得は、所得税法や租税特別措置法に定められており、所得金額の計算から除外されます。
そのため、計算上の損失が発生しても、その損失はないものとして見なされます。
非課税の適用を受けるための手続きは原則不要です
非課税所得の種類とは
非課税所得は所得税法などに規定されており、以下のような種類別にまとめることができます。
- 実質弁償的性格に基づくもの
- 社会政策的配慮に基づくもの
- 二重課税の防止に基づくもの
- 公益的な目的に基づくもの
- 障害者等の税負担の軽減および貯蓄奨励策の基づくもの
- その他
それぞれ詳しく見ていきましょう。
実質弁償的性格に基づくもの
「実質弁償的性格」とは、労働に対する収入ではない収入のことで、以下のようなものです。
- 給与所得者の出張旅費、転勤旅費など
出張旅費は、従業員が出張に行く際に、通常の範囲内でかかった費用は非課税となります。
ただし、個人事業主の出張旅費は課税対象です。 - 給与所得者の通勤手当
通勤手当は、月15万円までは非課税となり、それを超えた分は給与所得として課税されます。
この通勤手当は、新幹線代も含めることができますが、グリーン車料金は含まれません。
自動車や自転車で通勤をしている場合は、片道の走行距離ごとに非課税となる上限が設定されています。
2km未満は全て課税対象、55km以上だと31,600円までが非課税です。 - 職務上で必要とされるものの現物支給
制服や食事などを現物で支給する場合は非課税となります。ただし、現物に限るので、現金を支給すると課税対象となります。
社会政策的配慮に基づくもの
以下のような生活用品の売買による所得や損害保険金、遺族年金などの社会政策として得る所得は非課税となります。
- 遺族年金、遺族恩給、傷病賜金、増加恩給など
傷病賜金とは、公務のため又は職務に関連してけがをしたり病気にかかったりした公務員が、一定の程度以上の障がいを有する場合に支給される一時金のことです。
- 家具・衣服など生活に通常必要な動産の譲渡による所得
家庭で使用した生活用品をフリマサイトで販売したり、中古品買取業者や知人に売却して得た所得は非課税です。
ただし、生活に必要な動産のうち、貴金属、宝石、書画、骨董等の価格が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税されます。 - 授業料などの学費に充てるために給付される金品
- 損害保険金、損害賠償金、見舞金など
- 雇用保険、健康保険、国民健康保険の保険給付など
- 生活保護のための給付
- 当座預金の利子所得
年利1%を超えない部分は非課税となります。
二重課税の防止に基づくもの
相続や贈与で得た所得は、相続税および贈与税の確定申告時に課税されるので、二重課税を防ぐために所得税は課税されません。
- 相続、遺贈または個人からの贈与により取得するもの
法人からの贈与は一時所得等として課税されます。
公益的な目的に基づくもの
社会に大きな利益を与えたことにより得た所得については、非課税となります。
- 文化功労者年金、学術奨励として交付される金品、ノーベル賞の賞金など
障害者等の税負担の軽減および貯蓄奨励策の基づくもの
障害者の税負担を少なくする目的や、貯蓄を奨励する目的で非課税になる所得があります。
- 障害者等の少額預金の利子所得
障害者で収入を得ることが困難である場合の税金配慮として、元本の合計が350万円以下であれば、預貯金や有価証券などの利子が非課税となります。この制度をマル優と言います。 - 障害者等の少額公債の利子所得
少額預金の利子所得と同様に障害者の税金配慮として、少額公債(国債、地方債)も、元本の合計が350万円以下であれば非課税となります。
この制度を特別マル優と言います。 - 勤労者財産形成住宅貯蓄の利子所得
勤労者財産形成住宅貯蓄とは、勤労者が住宅を購入するために使われる貯蓄のことで、勤労者が家を購入することを促進するために定められました。55歳未満の勤務者が勤務先に届け出をすることで、勤労者財産形成年金貯蓄との元本合計が550万円まで非課税となります。 - 勤労者財産形成年金貯蓄の利子所得
勤労者財産形成年金貯蓄とは、老後の生活に備える貯蓄のことです。
60歳以降の年金受給開始まで引き出さないこと、5年以上定期に給料から天引きで積み立てることを条件に、勤労者財産形成住宅貯蓄との元本合計が550万円まで非課税となります。 - 貸付信託の受益権等の譲渡による所得
その他
その他、上記5つに該当しない所得で、非課税となるものは以下のものです。
- オリンピック競技大会またはパラリンピック競技大会における成績優秀者を表彰するものとして交付される金品
- NISAなどの非課税口座の上場株式等にかかる配当所得・譲渡所得
- 宝くじの当選金
福引や懸賞などの当選金は課税対象です。 - スポーツ振興投票券(toto)の払戻金
非課税所得は申告が不要
非課税所得を得た場合に、非課税を適用するための手続きは不要です。
つまり、確定申告の際に申告する必要もありません。
また、非課税所得を取得する際に必要経費が発生したとしても事業を行うために使用した費用ではないので、経費として扱うことはできません。
まとめ この記事が30秒で理解できる!
非課税所得とは、社会的政策やその他様々な理由から、所得税の課税対象とならない所得のことです。
非課税の適用を受けるための手続きは原則必要なく、確定申告時に申告する必要もありません。
非課税所得には以下の種類があります。
- 実質弁償的性格(労働に対する収入ではない収入)に基づくもの
- 社会政策的配慮に基づくもの
- 二重課税の防止に基づくもの
- 公益的な目的に基づくもの
- 障害者等の税負担の軽減および貯蓄奨励策に基づくもの
サラリーマンがもらう給与所得とは違い、課税対象なのかどうか判断が難しいものがあります。
誤った判断で所得税の申告忘れなどをしないように気をつけましょう。