こんな悩みはありませんか?
- 小規模企業共済等掛金控除について知りたい
- いくら控除されるのか知りたい
- 控除を受けるための手続きについて知りたい
所得控除を受け課税所得金額を減らすことで、所得税・住民税を抑えることができます。しかし、所得控除の一つである小規模企業共済等掛金控除をうまく活用している人は少ないでしょう。
本記事では、小規模企業共済等掛金控除の概要や控除を受けるための手続きについて解説します。
目次
小規模企業共済とは
まず始めに小規模企業共済とは、国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構によって運営されている制度で、小規模企業を営む経営者や役員、個人事業主等が加入できます。
毎月積み立てを行い、解約時に共済金を受け取ることができますが、掛金納付期間が20年未満だと元本割れしてしまいます。また、共済金は6ヶ月、解約手当金は12ヶ月以上掛金を納付していないと受け取れません。
さらに、共済金を受け取る際に課税もされます。ただし、共済金は原則として退職所得なので、他の所得に比べて控除額は大きいです。所得の種類に関しては以下の表をご覧ください。
受取方法 | 所得の扱い |
共済金を一括 | 退職所得 |
共済金を分割 | 公的年金等の雑所得 |
65歳以上で任意解約 | 退職所得 |
65歳未満で任意解約 | 一時所得 |
加入資格
小規模企業共済には加入資格があり、以下のいずれかに該当する経営者や個人事業主が加入できます。
- 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員
- 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員
- 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
- 常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
- 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
- 上記「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)
引用:中小機構HP
掛金について
掛金は500円単位で、1,000円から7万円の範囲内で自由に設定することができます。また、加入後も自由に掛金の増減が可能です。経営悪化等の理由で掛金が払えない場合は、一時的に支払いを止めることもできます。
小規模企業共済等掛金控除とは
小規模企業共済等掛金控除とは所得控除の一つで、対象となる共済契約に基づく掛金等を支払った場合に、その支払った全額が控除されます。
対象となる掛金
小規模企業共済等掛金控除の対象となる掛金は以下の通りです。
- 小規模企業共済制度の掛金
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金
- 企業型確定拠出年金(企業DC)の掛金
- 心身障害者扶養共済制度の掛金
iDeCoについてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
控除額について
小規模企業共済等掛金控除の控除額は、1年間に支払った掛金の全額で、控除額の上限もありません。つまり、小規模企業共済の掛金だけでも最大84万円が控除できます。また、1年以内の前納掛金も控除の対象にすることができます。
月の掛金による節税額の目安は以下の表でご確認ください。
課税所得金額 | 加入前の税額 | 加入後の節税額 | ||||
所得税 | 住民税 | 月額の掛金 | ||||
1万円 | 3万円 | 5万円 | 7万円 | |||
200万円 | 104,600 | 205,000 | 20,700円 | 56,900円 | 93,200円 | 129,400円 |
400万円 | 380,300 | 405,000 | 36,500円 | 109,500円 | 182,500円 | 241,300円 |
600万円 | 788,700 | 605,000 | 36,500円 | 109,500円 | 182,500円 | 255,600円 |
800万円 | 1,229,200 | 805,000 | 40,100円 | 120,500円 | 200,900円 | 281,200円 |
1,000万円 | 1,801,000 | 1,005,000 | 52,400円 | 157,300円 | 262,200円 | 367,000円 |
小規模企業共済等掛金控除を受けるためには
小規模企業共済等掛金控除を受けるためには確定申告か年末調整で申告が必要です。
確定申告の場合
確定申告書の第一表に支払い掛金の総額を記入し、第二表に掛金の種類と支払った保険料を記入します。
また、確定申告の際に控除証明書の添付が必要です。小規模企業共済では「掛金払込証明書」が中小機構から送付されます。iDeCoの場合は証券会社から証明書が発行されます。
e-Taxで確定申告を行う場合は控除証明証の提出は不要ですが、原則申告期限から5年間は保管しておく必要があります。
年末調整の場合
給与所得者が企業型DCに加入している場合は、会社が保険料控除申告書に記入しています。iDeCoに加入している方は年末調整の際に、個人型年金加入者掛金の欄に控除額を記入してください。
さいごに この記事が30秒で理解できる!
小規模企業共済等掛金控除とは所得控除の一つで、対象となる掛金を支払った場合に、その支払った全額が控除されます。控除を受けるためには確定申告か年末調整での申告が必要です。対象となる掛金は以下の通りです。
- 小規模企業共済制度の掛金
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金
- 企業型確定拠出年金(企業DC)の掛金
- 心身障害者扶養共済制度の掛金
小規模企業共済は経営者や個人事業主のための退職金制度です。控除される金額も大きいので上手く活用しましょう。