こんな悩みはありませんか?
- 将来もらえる年金の手取り額がしりたい
- 年金にかかる税金をどうやって支払うのか知りたい
- 年金にかかる税金の注意点が知りたい
老後資金の要である年金ですが、ねんきん定期便はあくまで額面の金額であり、手取り金額ではありません。
自身の年金にいくらの所得税がかかるのか把握しておくことは、老後の資金計画を立てる上で極めて重要です。
今回は、年金の手取り額と、年金にかかる税金、確定申告が必要なパターンなどにについて解説します。
老後の生活を設計する上で、年金をいくら受け取ったらどのくらいの税金が課税されるのか、知っておいて損はないはずです。
目次
ねんきん定期便の年金は手取りではない
公的年金は、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」に将来の年金額が書かれています。
しかし、年金は全額が手取りになる訳でなく、所得として扱われるため税金がかかります。
公的年金だけでなく、企業で入会している確定給付年金や確定拠出年金も所得税がかかるため、全額が給付される訳ではありません。
所得は性質により10種類に分類され、年金は雑所得に該当します。
公的年金の税金
国の年金制度である公的年金には、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金が存在します。
国民年金から受け取る年金を老齢基礎年金、厚生年金から受け取る年金を老齢厚生年金と呼び、所得税・住民税が課税されます。
ただし、受け取った年金全額が課税対象になるわけではなく、必要経費を差し引いた金額に課税されます。
年金の場合は、この必要経費は公的年金等控除額にあたります。
病気や怪我で障害が残った場合にもらえる障害年金や、被保険者が亡くなった場合にもらえる遺族年金は非課税です。
企業年金の税金
企業によって確定給付年金や確定拠出年金などの企業年金制度がある場合があります。
企業年金は年金として受け取るか、一括で受け取るか選択できます。
年金として受け取る場合は、公的年金と企業年金の支給額を合算し、公的年金等控除額を差し引いた金額が雑所得となります。
その他の年金の税金
公的年金や企業年金以外にも、保険会社の個人年金保険や、iDeCoなどの個人型確定拠出年金、外国の公的年金は雑所得として扱われます。
年金に対する所得税は源泉徴収
年金を受け取る際は、給与と同じよように所得税が源泉徴収されます。年金の種類に応じて源泉所得税率は変わります。
公的年金の源泉徴収
公的年金は「扶養親族等申告書」を提出していて、65歳未満では年金額108万円、65歳以上では年金額158万円を超えた場合に、所得税が源泉徴収されます。
これは後に解説する公的年金等控除額と、基礎控除額を合わせた金額が65歳未満では108万円、65歳以上では158万円になるためです。
公的年金の源泉徴収
源泉徴収税額 = (年金額 − 控除額) × 5.105%(復興特別所得税含む)
控除額には公的年金等控除や基礎控除の他に、配偶者控除、扶養控除、寡婦控除などの控除額が含まれる場合があります。
企業年金の源泉徴収
企業年金を受け取る際に、以下の計算式で算出された金額が源泉徴収されます。
企業年金の源泉徴収
源泉徴収税額 = 年金額 × 7.6575%(復興特別所得税含む)
企業年金の源泉徴収税額を計算する場合は、配偶者控除や扶養控除などの人的控除は適用されないので注意してください。
その他の年金の源泉徴収
個人年金保険は受け取った年金額から、その年金額に対して支払った保険料を差し引いた金額、つまり利益相当分が雑所得扱われます。この雑所得が年間25万円を超えた場合に源泉徴収されます。
その他の年金の源泉徴収
源泉徴収税額 = (年金額 − その年金額に対して支払った保険料) × 10.21%(復興特別所得税含む)
公的年金等にかかる雑所得
公的年金等には老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金、公務員などの共済組合からの年金が含まれ、これらは雑所得に該当します。
保険会社の個人年金は公的年金等に該当しません。
公的年金等にかかる雑所得は、年金額から公的年金等控除額を差し引いて求められます。公的年金等控除額は年金受給者の年齢や年金額に応じて定められています。
以下は令和2年分以降の公的年金等にかかる雑所得の早算表です。ただし、公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が1,000万円である場合の表です。
公的年金等の収入金額(A) | 公的年金等にかかる雑所得の金額 | |
65歳未満 | 60万円以下 | 0円 |
60万円超え130万円未満 | (A) − 60万円 | |
130万円以上410万円未満 | (A) × 75% − 27万5千円 | |
410万円以上770万円未満 | (A) × 85% − 68万5千円 | |
770万円以上1,000万円未満 | (A) × 95% − 145万5千円 | |
1,000万円以上 | (A) − 195万5千円 | |
65歳以上 | 110万円以下 | 0円 |
110万円超330万円未満 | (A) − 60万円 | |
330万円以上410万円未満 | (A) × 75% − 27万5千円 | |
410万円以上770万円未満 | (A) × 85% − 68万5千円 | |
770万円以上1,000万円未満 | (A) × 95% − 145万5千円 | |
1,000万円以上 | (A) − 195万5千円 |
扶養親族等申告書を提出する
毎年11月に郵送される「扶養親族等申告書」は、配偶者控除、扶養控除、寡婦控除等の控除を受けるために提出する書類です。
年金を受け取る際に源泉徴収される所得税額は、その年の年金額から想定される仮の税額であり、この税額は扶養親族等申告書の内容に沿って決まります。
申告書を提出し忘れると各種控除が受けられなくなり、本来の金額より多く所得税が源泉徴収されることになります。
ただし、提出期限を大幅に過ぎない限り、多少提出が遅れても内容はしっかりと反映される場合がほとんどです。
また、提出を忘れても確定申告をすれば、多めに源泉徴収された分は返ってくるので問題ありません。
なお、各種控除を二重に受けることはできません。
例えば勤務先と年金の両方に申告書を提出して、双方から所得控除を受けた場合は、確定申告をして不足分を納める必要があります。また、源泉徴収されない人には扶養親族等申告書が届くことはありません。
年金に確定申告は必要?
年金をもらっている人は原則として確定申告をする必要があります。
ただし、公的年金等の確定申告不要制度というものがあります。以下2つの条件に両方とも該当すれば確定申告は不要です。
- 公的年金等の週休金額の合計が400万円以下であること
- 公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下であること
上記に当てはまる場合は確定申告をしなくても良いというだけで、してはいけないわけではありません。ですので、医療費控除による所得税の還付を受けるために確定申告をすることは可能です。
なお、所得税は申告不要であっても、住民税の申告が必要な場合はあるので注意してください。
また、給与には年末調整がありますが、年金にはそのような制度はありません。そのため源泉徴収で余分に引かれた税金は確定申告をしないと戻って来ません。
まとめ この記事が30秒で理解できる!
年金は全額が手取りにならず、雑所得に該当します。
一定額以上を受給すると所得税に支払い義務が生じ、65歳未満の人は年金額108万円、65歳以上の人は158万円で源泉徴収の対象となります。
各種控除を受けるためには扶養親族等申告書の提出が必要です。
提出期限が過ぎてしまった場合でも、後から提出した方が良いでしょう。
年金は原則として確定申告をする必要がありますが、確定申告不要制度の条件に該当する人は申告は不要です。
ただし、源泉徴収で余分に差し引かれた分を取り戻すためには、確定申告はしないといけません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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