こんな悩みはありませんか?
- セルフメディケーション税制について知りたい
- 対象となる医薬品について知りたい
- いくら控除されるのか知りたい
- 従来の医療費控除との併用はできるのか知りたい
セルフメディケーション税制をご存知でしょうか。2017年から開始された医療費控除の特例制度です。
セルフメディケーションという言葉からもわかる通り、健康の維持や疾病の予防など一定の取組を行なっている人が受けられる制度です。
本記事では、セルフメディケーション税制の概要や控除額、従来の医療費控除との違いについて解説します。
【2020年】医療費控除で所得税が安くなる?税金が返ってくる方法を公開!
続きを見る
目次
セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進、疾病の予防のために一定の取組を行なっている方が、1年間に対象の医薬品を12,000円以上購入した場合に受けられる制度です。対象医薬品は納税者本人以外にも、生計を一にする配偶者やその他の親族のために購入した場合も含まれます。
対象となる人は?
税制の対象となる方は、健康の保持増進、疾病の予防のために一定の取組を行なっている方と前述しましたが、一定の取組とは以下の取組のことをいいます。
- 特定健康診査(メタボ検診)または特定保健指導
- 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
- 勤務先で受ける定期健康診断(事業主検診)
- 保険者が実施する健康診査(人間ドック等)
- 市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
- 市区町村が健康増進事業として実施する健康診査
申告する人と生計を一にする配偶者その他の親族が、上記の取組を行う必要はありません。また、上記の取組を実施するためにかかった費用は控除の対象にならないので注意しましょう。
対象となる医薬品は?
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は、医師によって処方される医薬品から、薬局やドラッグストアで購入でき医薬品に転用されたスイッチOTC医薬品とされています。具体的な医薬品は厚生労働省のホームページをご覧ください。
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品を購入した際に発行されるレシートに、控除の対象であることが記載されます。また、対象医薬品の多くに以下のような識別マークがあります。
いくら控除されるの?
セルフメディケーション税制では、その年の1月1日から12月31日までの間に、対象医薬品の購入額が12,000円を超える分(上限金額8万8,000円)が所得から差し引かれます。
実際にどのくらい控除されるか計算してみましょう。
計算例
所得税率20%、住民税率10%の人が対象医薬品を年間5万円購入した場合
12,000円を超えた分が控除されるので
所得税の減税額 = (50,000円 − 12,000円) × 20% = 7,600円
住民税の減税額 = (50,000円 − 12,000円) × 10% = 3,800円
上記の例の場合、所得税と住民税合わせて11,400円の節税効果があります。
手続きと必要な書類について
セルフメディケーション税制の対象者で控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。そのため、ドラッグストアや薬局等で医薬品を購入した際に発行されたレシートや領収書はきちんと保管しておきましょう。
また、一定の取組を行なったことを証明する書類も必要です。
- 特定健康診査の領収書または結果通知表
「特定健康診査」という名称または「保険者名」が記載されていること - インフルエンザの予防接種又は定期予防接種の領収書または予防接種済証
- 勤務先で受けた定期健康診断の結果通知表
「定期健康診断」という名称または「勤務先」が記載されていること - 人間ドックなどの各種健康診査の領収書または結果通知表
「勤務先」及び「保険者名」が記載されていること - 市区町村のがん検診の領収書または結果通知表
提出書類が領収書の場合は原本を提出、結果通知表の場合はコピーでの提出が可能です。その際、診断結果の部分は黒塗りまたは切り取っても問題ありません。
医療費控除との併用はできるの?
結論から言うと、医療費控除とセルフメディケーション税制との併用はできず、どちらを利用するかは自分で決める必要があります。より節税になる方を検討しましょう。
以下はどちらを利用したら良いかのイメージ表です。ちなみに、医療費控除は簡単に説明すると10万円を超えた分が控除される制度です。
控除の対象金額(左側)と控除対象下限額(右側)との比較 | ||||
セルフメディケーション税制 | 1万円 < 1.2万円 | 5万円 > 1.2万円 | 5万円 > 1.2万円 | 10万円 > 1.2万円 |
医療費控除 | 1万円 < 10万円 | 5万円 < 10万円 | 15万円 > 10万円 | 15万円 > 10万円 |
どちらを利用するか | どちらも下限額未満なので控除対象外 | セルフメディケーション税制のみ下限額を超えている | どちらも下限額を超えているので、控除額の高い医療費控除を選択 | どちらも下限額を超えているので、控除額の高いセルフメディケーション税制を選択 |
最後にセルフメディケーション税制と従来の医療費控除との比較をしてみましょう。
セルフメディケーション税制 | 医療費控除 | |
対象期間 | その年の1月1日〜12月31日 | |
対象者 | 申告者または申告者と生計を一にする配偶者その他の親族 | |
控除される税金 | 所得税・住民税 | |
申告のタイミング | 確定申告 *医療費控除は過去5年分まで申告可能 | |
申告に必要な書類 | レシートまたは領収書 給与所得者は源泉徴収票 | |
制度の有効期間 | なし | 2017年1月1日〜2021年12月31日 *5年間の延長(2022年〜2026年)が決定している |
控除対象額 | 10万円以上 | 1万2,000円以上 |
控除対象となる上限額 | 200万円 | 8万8,000円 |
対象となるもの | 治療費、医薬品の購入費、通院にかかる交通費 妊娠時の定期検診や検査費用など | 制度対象となる特定成分を含んだOTC医薬品 |
制度を受けるための取組 | なし | 健康の保持増進、疾病の予防のために一定の取組を行なっていること |
まとめ この記事が30秒で理解できる!
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進、疾病の予防のために一定の取組を行なっている方が、1年間に対象の医薬品を12,000円以上購入した場合に受けられる制度です。
従来の医療費控除は控除対象が10万円からと高額です。一方でセルフメディケーション税制は、利用するための条件はあるものの、1万2,000円から控除の対象となるので控除は受けやすいでしょう。
ただし、セルフメディケーション税制と医療費控除との併用はできません。税金の面でよりお得な方を選択しましょう。