こんな悩みはありませんか?
- 個人事業主になると個人事業税がかかるの?
- 個人事業税って個人事業主全員にいつからどうやって支払うの?
個人事業主になると、いままでは関係のなかった税金を支払うこととなり、そのひとつが「個人事業税」です。
個人事業税は、法人が納税する「法人事業税」の個人事業主版であり、所得税や住民税、消費税に加え、事業を始めると事業税が課されます。
個人事業税の税率は、3~5%と低く設定されており、経費にすることができるので、知らずに経費から省くと損をしてしまいます。
本記事では、個人事業税の納税方法や、税率、計算方法について解説します。
これから個人事業主を目指す方や、個人事業主をはじめたばかりの方は、知っておくべき内容なのでこの機会に概要だけでもおさえるといいでしょう。
それでは、本編をどうぞ!
目次
個人事業税とは
個人事業主が納めるべき税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税、償却資産税などです。
所得税や住民税は、累進課税となり所得に応じて税率が変わる一方で、個人事業税は、個人で行なっている事業に対して課税される税金です。
税率は3〜5%で、業種により異なるのがポイントです。
個人事業税は都道府県に納める地方税で、自宅がある場所ではなく事務所や事業所がある都道府県に納税します。
都道府県から納税通知書が送付されるので、都道府県の窓口やコンビニ、クレジットカードで支払いましょう。
納付時期は原則8月と11月の年2回に分けて納付します。
個人事業税は、事業所得の必要経費として扱うことができます。
事業税を支払った事業年度に経費として計上できます。会計処理に使用する勘定科目は「租税公課」です。
しっかりと仕訳をして経費として計上すれば、節税に繋がります。
さらに詳しく!
租税公課とは、国税や地方税などの税金を表す「租税」と、国や公共団体などに対する交付金や会費などの公的な課金を表す「公課」を合わせあ勘定項目です。
租税公課には経費にできる税金や手数料があり、事業に関わる支出であることが前提となります。
経費にできる租税公課は、以下の通りです。
- 固定資産税
- 自動車税
- 自動車取得税
- 自動車重量税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 事業税
- 印紙税
- 消費税
- 印鑑証明書の発行手数料
- 住民票の発行手数料
個人事業税の納税対象者について
個人事業税は、以下の条件を全て満たした場合に納税義務が発生します。
- 個人事業主である
≫事務所や事業所の所在地の都道府県での申告、納税が必要です。 - 所得金額が290万円を超えている
≫個人事業税は290万円の事業主控除が受けられるため、所得金額が290万円以下の場合は非課税となります。 - 法律で定められている70の業種に該当している
≫第1種事業、第2種事業、第3種事業に分類される事業を営む場合に、納税対象になります。
個人事業の区分と税率
税率 | 事業の種類 | |
第1種事業 | 5% | 物品販売業、運送取扱業、料理店業、遊覧所業、保険業、船舶定係場業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、公衆浴場業(むし風呂など)、電気通信事業、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業 |
第2種事業 | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
第3種事業 | 5% | 医業、公証人業、設計監督者業、公衆浴場業(銭湯)、歯科医業、弁理士業、不動産鑑定業、歯科衛生士業、薬剤師業、税理士業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、公認会計士業、諸芸師匠業、測量士業、弁護士業、計理士業、理容業、土地家屋調査士業、司法書士業、社会保険労務士業、美容業、海事代理士業、行政書士業、コンサルタント業、クリーニング業、印刷製版業 |
3% | あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業 |
上記の第1種事業、第2種事業、第3種事業に該当しない事業には事業税は発生しません。
例えば、作家や漫画家などが上記3種類に当てはまらない事業です。
個人事業税の計算方法
個人事業税額は、以下の式で求められます。
個人事業税の計算方法
個人事業税額 = 課税所得金額 × 税率
課税所得金額 = 事業所得または不動産所得*1 + 所得税の事業専従者給与(控除)額 - 個人事業税の事業専従者給与(控除)額*2 + 青色申告特別控除額*3 - 各種控除額
*1 事業所得または不動産所得:1年間(1月1日~12月31日)に発生した事業の総収入金額(事業所得または不動産所得)から、必要経費、青色申告特別控除額等を差し引いた金額です。
*2 個人事業税の事業専従者給与(控除)額:事業主と生計を共にする親族が、その事業に従事する場合、一定額を必要経費として控除することができます。青色申告の場合は給与支払額(所得税の事業専従者給与額)、白色申告の場合は配偶者であれば86万円、配偶者以外であれば1人50万円が控除されます。
*3 青色申告特別控除額:個人事業税では、青色申告特別控除は適用されないので、所得金額に加算します。
一見複雑に見えますが、ようするに事業で生まれた売上から必要経費を差し引いて、控除額を計算すれば導くことができます。
詳しくは税理士が計算してくれるので、ここでは計算の仕方だけ覚えておけばいいでしょう。
290万円まで非課税になる「事業主控除」
個人事業税は、一律290万円の事業主控除があるため、課税所得290万円まで非課税です。
ただし、営業期間が1年未満の場合は、事業主控除は以下の通り月割額となります。
営業期間が1年未満の事業主控除額
営業期間 | 事業主控除額 |
1ヶ月 | 242,000円 |
2ヶ月 | 484,000円 |
3ヶ月 | 725,000円 |
4ヶ月 | 967,000円 |
5ヶ月 | 1,209,000円 |
6ヶ月 | 1,450,000円 |
7ヶ月 | 1,692,000円 |
8ヶ月 | 1,934,000円 |
9ヶ月 | 2,175,000円 |
10ヶ月 | 2,417,000円 |
11ヶ月 | 2,659,000円 |
12ヶ月 | 2,900,000円 |
個人事業税は繰越控除が適用される
繰越控除には、損失の繰越控除、被災事業用資産の損失の繰越控除、譲渡損失の繰越控除の3つがあります。
これらの控除は、事業年度の翌年以降3年間の所得から、繰越控除が受けられます。
損失の繰越控除とは、青色申告者で年間の所得が赤字の場合、翌年以降の利益から控除できる制度です。
被災事業用資産の損失の繰越控除とは、白色申告者で、震災、火災などによって生じた事業用資産の損失がある場合、翌年以降3年間、繰越控除ができる制度です。
譲渡損失の繰越控除とは、事業に使用していた資産のうち、機械や車両などを譲渡したことで損失が発生した場合に、繰越控除ができる制度です。
さいごに この記事が30秒で理解できる!
個人事業税とは、個人で行なっている事業に対して課税される税金です。
税率は第1種事業が5%、第2種事業が4%、第3種事業は3%または5%です。
個人事業税は所得金額が290万円を超えると課税対象となります。また、「租税公課」という勘定科目で仕訳をすると、経費として計上できます。
個人事業税額は以下の式で求められますが、税理士が計算してくれるため細かく覚える必要はないでしょう。
個人事業税の計算方法
個人事業税額 = 課税所得金額 × 税率
課税所得金額 = 事業所得または不動産所得*1 + 所得税の事業専従者給与(控除)額 - 個人事業税の事業専従者給与(控除)額*2 + 青色申告特別控除額*3 - 各種控除額
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