こんな悩みはありませんか?
- 働き方改革によって変わった有給休暇取得のルールについて知りたい
- 会社が労働者に対して取るべき対応について知りたい
- 有給休暇取得の義務化の対象者について知りたい
2019年4月1日から年5日の有給休暇の取得が義務化されました。その背景には日本人の有給休暇取得率の低さが関わってきます。
厚生労働省の調査によると、平成30年の有給休暇付与日数の平均は18日間で、実際に取得した日数の平均は9.4日間でした。つまり日本人は、平均して半分しか有給休暇を利用していないことがわかります。
これは主要19ヶ国と比べても最下位です。特にブラジル、フランス、スペインは有給休暇の取得率は100%を示しています。
目次
働き方改革とは
働き方改革とは、一億総活躍社会の実現を目指す取り組みです。
働き方改革は、2019年4月1日に働き方改革基本法案の一部が施行され、大企業だけでなく中小企業にとっても大きな経営課題となっています。
一億総活躍社会は、少子高齢化が進み、労働者が減少する中、老若男女の誰もがあらゆる職場、あらゆる地域で活躍できる全員参加型社会を指します。
労働力減少を解消するためには
少子高齢化で労働力が減少する中で、3つの対応策が考えられています。
- 働き手を増やす:今まで労働市場に出ていなかった女性や高齢者などを働き手を増やす案
- 出生率を上げる:出生率を上げることで将来の働き手を増やす案
- 労働生産性を上げる:労働者一人一人の労働生産性を上げる案
さらに詳しく!
労働生産性とは、「投入した労働量に対して、どれだけの生産量を得たか?」を表す指標です。
働き方改革実現への課題
働き方改革を実現するためには、大まかに3つの課題があります。
- 長時間労働の解消:日本は世界的にみても労働時間が長く、過労死や自殺も問題になっています。
- 正規社員と非正規社員との格差解消:一般に非正規社員の賃金は、正規社員の6割程度と言われています。
- 高齢者の雇用促進:定年を過ぎても働く意欲のある高齢者が増え、高齢者に対する労働環境を整えていく必要があります。
その相反する課題を解決するには、労働できる人を増やすか、効率化するしか策がありません。
そのため、高齢者の受け入れを進めたり、AIを使い業務を効率化することが重要とされています。
働き方改革による「有給休暇の義務化」
ここからは働き方改革の一つの取り組みである、有給休暇取得の義務化について解説します。
そもそも有給休暇とは、労働基準法第39条で認められている権利であり、休暇を取得しても会社から賃金が支払われます。
有給休暇を与える目的は、労働者の心身の疲労を回復させ、ゆとりある生活を保障するためです。
従来、仕組みとして有給休暇がありましたが、企業により取得率が低かったこともあり、2018年に「働き方改革関連法案」が成立しました。
そもそもの有給休暇の仕組みは有給休暇とは?で詳しく説明しています。 続きを見る有給休暇とは?概要と付与日数について解説|買取は可能なの?
働き方改革関連法案により、2019年4月1日から10日以上の有給休暇が付与されている全ての労働者に、会社は時期を指定して、毎年5日間の有給休暇を取得させることが義務化されました。
初めて有給休暇が付与された日を基準にし、その日から1年以内に5日間の休暇を与えます。この制度は大企業、中小企業問わず、全企業に義務付けされています。
「有給休暇の義務化」の対象者
義務化の対象者は、有給休暇を10日以上付与されている労働者です。10日以上付与されるための条件は以下です。
- フルタイム労働者の場合:雇用されてから6ヶ月以上継続して勤務し、その期間の全労働日のうち8割以上出勤していること
- パートタイム労働者の場合(週4日勤務):雇用されてから3年6ヶ月以上継続して勤務し、直近1年間の出勤率が8割以上であること
- パートタイム労働者の場合(週3日勤務):雇用されてから5年6ヶ月以上継続して勤務し、直近1年間の出勤率が8割以上であること
ただし、労働者が自ら1年で5日間以上の休暇を取得している場合は、会社側がさらに5日間休暇を取得させる必要はありません。取得日数が5日未満の場合は、足りない日数分を取得させる必要があります。
会社側の対応
義務化に対して、会社側の対応策は2つあります。
個別指定方式
この方式の場合は、労働者が有給休暇を取得する時期を、原則自由に選択できます。
取得日数が5日に満たない社員に対しては、取得を促します。
この方式のメリットは、労働者が自由に休暇取得ができる権利が尊重されていることです。
会社との交渉次第では、取得時期の融通も利きやすいです。
一方で、デメリットとして各社員の休暇の管理が大変になることです。
ここに注意!
会社は、できるだけ労働者の希望通りの取得時期になるよう努めないといけません。
ただし、著しく業務に影響を及ぼす場合は、会社は労働者に休暇日の変更を要求することができます。
計画年休制度
この制度は、会社が労働者に有給休暇を計画的に取得させます。
例えば、全社員に一斉に休暇を取得させる日を設定する、などです。
この様に計画的に取得日を設けることで、事業の見通しが立てやすくなります。さらに社員の休暇取得忘れも防止できます。
デメリットは、個別指定方式とは異なり、一斉取得日の変更が困難であったり、融通が利きずらい点です。
どちらの方針が良いかは、会社ごとに異なるので、各会社の事情に合わせましょう。
義務化に違反した時の罰則
年5日の有給休暇取得が守れなかった企業には、30万円以下の罰金が課せられます。
この罰則は、5日間取得しなかった労働者の人数分課せられます。つまり、10人が違反していれば、300万円ほどの罰金となります。
会社が労働者に意図的に休暇を取らせないのはもっての外ですが、取得忘れによる違反には十分に気をつけたほうが良いでしょう。
各社員の休暇の管理がきちんとしていれば、この様な事態は防げるはずです。
さいごに この記事が30秒で理解できる!
働き方改革により、年5日の有給休暇取得が義務化されました。その対象者は10日以上の休暇日数を与えられている労働者です。
会社側は、その義務に反した場合、罰則規定があります。
有給休暇は労働者に与えられた権利です。当たり前に取得して、ワークライフバランスを整えてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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