こんな悩みはありませんか?
- 自分が働いている会社はブラック企業なのかな?
- 残業しているのに残業代がもらえない。これってもらえないのかな?
- 休憩時間も仕事をしているのだけど、これって休憩の扱いになるの?
労働基準法では、就業時間や、残業などを定めているので、自分の勤務状況は適切かどうかを測ることができます。
近年、ブラック企業が社会問題となっています。
労働環境が原因で精神疾患を患ったり、最悪の場合、自殺をしていまう方も多数います。
自分を守るためにも、働くうえで知っておくべき労働者の権利について説明します。
目次
労働時間の例外と休憩
会社に雇用された社員やアルバイトが、不利にならないように定められたのが労働基準法です。
労働基準法は、職場で起こるであろうトラブルを未然に防ぐために、制定された法律です。
残業、休憩、休日、時間外労働、有給休暇などについて労働基準法で定めており、労働者は守られています。
ここがポイント!
労働基準法は、労働者を守るために作られた法律です。
そのため、会社を運営する立場の、社長をはじめとした役員は労働基準法の適用外です。
つまり、社長をはじめとした役員には、残業、休憩、休日などのルールはなく、どれだけ休もうが、逆にどれだけ働こうが自由です。
労働基準法で労働者が守られているとはいえ、実情としては極端な長時間労働や過剰なノルマ、残業代・給与等の不払い、ハラスメント行為が横行するなど、労働者を大切にしないブラック企業が存在するのも事実です。
有給休暇については詳しく知りたい方は、有給休暇の概要で解説しています。 続きを見る有給休暇とは?概要と付与日数について解説|買取は可能なの?
労働基準法を守らないとどうなるの?
労働基準法を守らない企業は、最悪、懲役刑となります。
今、あなたや家族が務めている会社がブラック企業なのかどうかを、法律の観点からみてみましょう。
労働基準法違反の中でも、最も重いのが第5条「強制労働の禁止」です。
労働基準法第5条
「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」
参考:労働基準法
労働基準法第5条に違反すると、労働基準法第117条により、「1年以上10年以下の懲役、または、20万円以上300万円以下の罰金」に処せられます。
「不当に拘束された」ことを証明するのは、なかなか難しいですが、ボイスレコーダーに録った会話の記録や、メールの履歴を証拠として集めたりするケースも見られます。
労働基準法について知り、自分自身を守る盾にしてください。
1週間で働いていい時間は?特例の業種あり
労働時間は労働基準法第32条で1日8時間、1週間で40時間以内と決められています。
これを法定労働時間といいます。一方で就業規則や雇用契約書で定められた就業時間を、所定労働時間といいます。
ここに注意!
『法定労働時間』を超える労働時間を『所定労働時間』として、定めることはできません。
これは一般的な9時からの勤務とシフト制など、どんな働き方でも一緒です。
労働基準法第32条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。参考:労働基準法
ただし、その中でも特例があります。
以下の条件に合致する業態で、常時、労働者が10名以下の事業所に関しては、1週間で44時間まで労働が認めれられています(労働基準法40条)。
- 商業:卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、駐車場業、不動産管理業、出版業など
- 映画・演劇業:映画の映写、演劇、その他興業の事業
- 保健衛生業:病院、診療所、保育園、老人ホーム等の社会福祉施設、浴場業など
- 接客娯楽業:旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地など
ここがポイント!
1通常の1週間40時間からすると週に4時間、月16時間も残業代無しで働くことになります。
仮に月給25万の場合、月間2万8,000円、年間33万6,000円も損することになります。
美容院や飲食店の店舗は、基本的に小さい理由も、10名以上雇用しないように調整しているから、という理由もあります。
休憩時間はどれだけ取れるの?
休憩に関しても労働基準法第34条で決められたルールがあります。
労働時間が6時間以上なら45分以上の休憩、労働時間が8時間以上なら1時間以上の休憩を、途中で与えなければなりません。
仮に6時間未満の場合は、労働基準法上の規定はなく、休憩は無しになる場合が多いです。
また、アルバイトの場合、6時間の勤務では45分の休憩時間も時給がでるので、短期勤務の場合、5時間30分勤務などのシフトがよく組まれます。
休憩時間は、分割して与えることができます。
例えば、1時間休憩なら昼休憩45分、3時頃に休憩15分などです。
ただし、5分×12回のようにあまりにも細切れにすると、休憩と認められない可能性があります。
休憩のポイント
休憩には、労働基準法34条で定められた3つのルールがあります。
- 休憩は労働時間の途中で与えること
- 休憩中は一切の仕事から解放されること
- 休憩は一斉に与えること
1. 休憩は労働自家の途中で与えること
休憩時間を退社前に与えて、8時間連続で労働した後に、1時間早めに帰って休憩扱いにすることなどは禁止です。
具体的に何時に取得すべきかは明記されていませんが、あまりにも非常識な時間であれば上司に相談してみるといいでしょう。
2. 休憩中は一切の仕事から解放されること
休憩時間に従業員が仕事をすることは禁止です。
常日頃から、休憩時間であっても緊急事態の対応や、電話番を命じられている場合は、労働基準法違反となる場合があります。
3. 休憩は一斉に与えること
休憩時間は原則一斉に与えなければいけません。多くの企業では、就業規則や雇用契約書に休憩時間が書いてあるはずです。
しかし、電車の運転士、接客業の定員、保育士、客室乗務員など一斉に休めない職業や、警察官、消防士など、いつ緊急事態になるかわからない職業には、一斉休憩の義務はありません。
また、看護師、介護士、警備員など、宿直を伴う仕事には仮眠時間があります。
仮眠時間が労働時間か、休憩時間かの判断基準として以下2点が重要です。
- 仮眠中に一切の仕事から解放されたか?
- 仮眠時間に会社の外に出て自由に過ごすことを許されたか?
例えば看護師が、仮眠中でもナースコールや緊急オペがあったら対応しなければならず、病院の敷地内から出ることを禁じられている場合、それは労働時間の扱いになる可能性が高いです。
仮眠時間については、ほとんど残業代が支払われていないと思いますが、権利は持っていると覚えておいてください。
時間外労働と休日労働について
労働基準法第36条では、時間外労働、いわゆる残業について規定しています。
サービス残業や残業代の未払いなど、残業は社会問題でもあり、ここで法規定を把握しておくことをおすすめします。
まず残業に関しては、法定内時間外労働、法定外時間外労働と2種類にわかれます。
前章で説明した通り、法定労働時間は1日8時間、週40時間です。
その範囲内の残業は、法定時間内労働といいます。
さらに詳しく!
例えば、雇用契約で1日7時間、週35時間契約だとします。
この契約で、1日8時間や、週40時間働いたとしたら、雇用契約上は残業なものの、労働基準法で定めた労働時間内です。これが法定時間内労働と言います。
一方で、法定時間外労働は、1日8時間、週40時間を超える残業を指します。
法定時間外労働は、原則認めらておりませんが、実はそれを可能にする方法があります。
法定時間外労働の上限を伸ばす方法
法定時間外労働を超えて残業をさせる場合、労使間で「時間外労働・休日労働に関する協定書」を締結し、別途「36協定届」を労働基準監督署に届け出ます。
36協定(サブロク協定)が労働基準監督署に承認されれば、法定時間外労働が認められることになります。
とはいえ無制限に残業できる訳ではなく、限度時間として月45時間、年360時間までと定められています。
ここに注意!
一方で、変則的な労働時間を取り入れている1年単位の労働時間制の場合、制限時間が若干変わります。「36協定」については、別の記事で詳しく書きます。
さらに詳しく!
36協定以外に、以下の場合も法定時間外労働が認められます。
- 災害やその他の臨時対応が必要な場合(労働基準法33条1項、2項)
- 限られた地方公務員が公務で臨時対応する場合(労働基準法33条3項)
割り増し賃金
使用者は、「法定時間外労働」と「法定休日労働」をさせた場合には、2割5分から5割以上の割増賃金を支払う義務があります(労働基準法37条1項)。
「法定休日労働」は、3割5分増以上となっています(労働基準法37条1項但書)。
「深夜労働」では、2割5分増以上と決められていて、「深夜労働」かつ「法定時間外労働」でもあると、5割増以上の賃金を支払わなければなりません。
さらに、「法定休日労働」で「深夜労働」だと、6割増になります。
さらに詳しく!
原則として、深夜労働は午後10時から午前5時の間です(労働基準法37条4項)。
まとめ 30秒でこの記事が理解できる!
今回は、労働基準法で定められた働き方について説明しました。
労働基準法では、1日8時間、週に40時間を超える労働をいい、それを超える労働は原則禁止とされています。
例外として、「36協定」では労働基準法36条の決まりに従って、月45時間、年360時間までの労働をさせることができます。
本来は、法律で定められた労働時間や休日、残業代、休日手当、深夜手当が充当されます。
ご自身の勤務状態が適切か、給与は適切かを今一度見直してみることをおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。